りそな・マルハビル

りそな・マルハビルは、東京都千代田区大手町一丁目に位置していた、かつての超高層ビルです。

概要

1978年11月、大洋漁業（現マルハニチロ）によって建設されました。内堀通りと永代通りが交わる皇居大手門交差点の北東角に位置し、周囲のビルとの調和を意識した高さで建設されています。これは、大洋漁業の創立100周年記念事業の一環として、当時の中部謙吉社長が新本社建設を決定したことに始まります。それまで、大洋漁業は丸ビルに入居していました。

建設中の1977年1月に中部謙吉社長が死去しましたが、後を継いだ次男の中部藤次郎社長によって完成を見ました。当初より、大洋漁業本社と協和銀行本店・本部が入居し、高層部に大洋漁業本社と協和銀行本部、低層部に協和銀行本店営業部が配置されました。業種の異なる企業が同居していたため、永代通り側に協和銀行、内堀通り側に大洋漁業と、それぞれエントランスを分け、エレベーターも別々に設けることで独立性を保っていました。北側にも玄関があり、ロビーには東山魁夷のタペストリー「緑響く」や山本雅彦の彫刻「春の唄」などが飾られていました。協和銀行のエントランスは、高さ11mの柱が並ぶ低層棟で、彫りの深い縦長の窓が奥行きを感じさせる構造として、1980年に第21回BCS賞を受賞しています。また、かつては17階に大洋漁業PRセンターがあり、自社商品を安価に販売していました。

1985年8月、当時本店を自社保有していなかった協和銀行は、業績の安定を背景に、賃借していた1階から16階部分の譲渡を大洋漁業に申し入れ、360億円で取得しました。これにより、協和銀行はビルの73%を保有し、敷地も同じ割合で共有することになりました。

なお、大洋ビルを建設した鹿島建設、清水建設、竹中工務店の創業一族は、マルハニチロの創業家である中部家と縁戚関係にありました。

所有権売却

2003年には、マルハが所有していたビルの27%の所有権が東急リアル・エステート投資法人に取得されました。その後、2008年4月には、りそなホールディングスが所有していた約7割のビルの所有権が三菱地所の特定目的会社に1620億円で取得されました。三菱地所は、2010年2月には東急リアル・エステート投資法人の持ち分も取得し単独所有となりましたが、同年3月には持ち分の27%を新日本石油（現：ENEOSホールディングス）に売却しました。所有権売却に伴い、りそなグループは2010年5月に賃料コスト削減と業務効率化のため、江東区木場の深川ギャザリアへ、マルハニチロは同年12月に同区豊洲の豊洲フロントへとそれぞれ移転しました。

大手町ホトリアに再開発

当ビルは、三菱地所による再開発計画「（仮称）大手町1-1計画」に伴い、隣接する三菱東京UFJ銀行大手町ビルと共に解体されました。解体工事には、鹿島建設が開発した鹿島カットアンドダウン工法が導入されました。この工法は、だるま落としのように下のフロアから徐々に壊していく方法です。再開発街区は、2012年6月11日に都市再生特別地区の都市計画決定を受け、旧りそな・マルハビルにあたるA棟は2013年2月20日に着工し、跡地に大手門タワー・JXビル（現：大手門タワー・ENEOSビル）が2015年11月17日に竣工しました。竣工後、JXグループ（現：ENEOSグループ）各社の本社・オフィス機能は、暫定的に使用していた大手町2丁目のJXビル（旧：新日鐵ビル）から移転しました。また、B棟にあたる旧三菱東京UFJ銀行大手町ビル跡地には、2017年1月に大手町パークビルディングが竣工しました。この再開発街区は、「大手町ホトリア」と命名されています。

ビル名の変遷

大洋漁業本社・協和銀行本店（1978年11月）
協和埼玉・大洋ビル
あさひ・大洋ビル（1992年）
あさひ・マルハビル（1993年 - 2003年3月）
りそな・マルハビル（2003年3月 - 2013年）

脚注

中部慶次郎（元マルハ会長、中部謙吉の三男で藤次郎の弟。建物のオーナーでもあった）

参考文献

* 森喜則、今吉賢一『ビル紳士録』毎日新聞社、1992年。ISBN 4-620-30885-4。

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