三重県立松阪高等学校

三重県松阪市垣鼻町に所在する、公立の高等学校です。地元では親しみを込めて「松高（まつこう）」、あるいは学制改革期の名称から「南高（なんこう）」とも呼ばれています。その歴史は古く、1910年に飯南郡立飯南女学校として設立されたことに始まり、2010年には創立100周年を迎えました。卒業生の同窓会組織は「南窓会（なんそうかい）」と称されています。

概要と教育理念

本校は多くの卒業生が四年制大学へと進学しており、高い進学実績を誇ります。効率的な学びを目指し、県内の高等学校に先駆けて65分授業を導入。また、学びの定着を重視した新3学期制を採用しています。

文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール（SSH）の指定を受け、特に理数科教育に力を入れています。大学や関係機関との連携を積極的に進めることで、生徒は高度な専門知識や技術に触れる機会を得ながら、探究心に基づいた質の高い学習に取り組むことができます。充実した施設を活用した実践的な授業展開も特徴です。

教育目標として「自主自律」を校訓に掲げ、生徒一人ひとりの個性と潜在能力を最大限に引き出すことを重視しています。この理念に基づき、生徒が主体的に学び、自己を確立できる自由な校風が育まれています。

沿革

本校の歴史は、1910年 4月1日に飯南郡立飯南女学校として創立されたことに始まります。その後、時代とともに名称や組織が変遷しました。

- 1911年: 飯南郡立実科高等女学校に改称。
- 1918年: 飯南郡立高等女学校に改称。
- 1922年: 松阪町外25か村組合立飯南高等女学校に改称。
- 1923年: 三重県立飯南高等女学校となります。
- 1936年には、並行して松阪町立実科高等女学校が設立され、1942年には松阪市立高等女学校に改称されました。
- 戦後の学制改革期には大きな転換期を迎えます。1946年に三重県立松阪中学校が設立された後、1948年 5月23日に三重県立松阪中学校と三重県立飯南高等女学校が統合し、三重県松阪南高等学校が誕生。普通科と通信教育課程が設置されました。
- 1949年 4月10日には、三重県松阪北高等学校と統合し、三重県松阪高等学校南校舎となりますが、翌1950年 4月1日には再び三重県松阪南高等学校と改称。
- 1952年 4月1日には、商業科が分離独立（現在の三重県立松阪商業高等学校）し、三重県松阪北高等学校の家庭科を統合する形で、三重県松阪高等学校と改称され、現在の校名に繋がる形となりました。同年、松阪市立高等女学校の学籍も移管されています。
- その後、1954年4月に被服科が設置され、1955年 4月1日に現在の正式名称である三重県立松阪高等学校となりました。
- 1969年 4月1日には理数科が設置。
- 被服科は1982年4月1日に募集停止となり、家政科は1989年 4月1日に生活科学科へ改称されましたが、生活科学科も1997年4月1日をもって募集停止となっています。
- 近年では、2000年 4月1日に三重県内の高等学校として初めて65分授業を導入。学期制についても、2006年 4月1日に2学期制へ移行した後、2009年 4月1日からは2学期制の利点を採り入れた新3学期制が開始されています。

教育組織と基礎データ

教育組織は全日制課程と通信制課程に分かれています。

- 全日制課程: 普通科と理数科を設置しています。普通科の定員は変遷があり、理数科は2010年度から定員が増員されています。
- 通信制課程: 普通科を設置しています。

交通アクセスとしては、近鉄山田線東松阪駅およびJR紀勢本線徳和駅が最寄り駅となります。

校章は、松阪の象徴である松にちなみ、力強い五葉松をモチーフとしています。三方に配された葉は「知」「徳」「体」の調和を表し、中央に配された「高」の文字とともに、高くまっすぐに育つ生徒の成長への願いが込められています。

制服は、冬服は男子が黒の学生服、女子が黒のセーラー服に白のスカーフです。夏服は男子が白のカッターシャツに黒のズボン、女子が白の半袖セーラー服に黒のスカーフとスカートとなります。女子には白の長袖セーラー服の中間服もあります。

年間行事

主な年間行事としては、4月の入学式と遠足に始まり、6月の体育感謝祭、7月のスポーツ大会や芸術鑑賞（3年に1度）があります。夏休みには高校生活入門講座が実施され、9月には学校最大のイベントである松高祭が開催されます。また、2年生は修学旅行、1年生は遠足を実施します。年度末の3月には卒業式とスポーツ大会が行われます。

部活動

運動系、文化系、および生徒会直属の部活動・同好会が盛んに活動しています。

- 運動系: 硬式野球部（2012年夏に初の甲子園出場）、卓球部、サッカー部、ラグビー部、ソフトテニス部、硬式テニス部、男女バレーボール部、男女バスケットボール部、ソフトボール部、バドミントン部、陸上競技部、ダンス部、弓道部。
- 文化系: 放送部（NHK杯全国高校放送コンテストで全国優勝・準優勝の実績）、生物部、地学部、化学部、英語部、合唱部、郷土研究・地理部、美術部、写真部（令和5年度入学生をもって募集停止）、文芸部、茶道部、パソコン部。
- 同好会: ギター同好会。
- 生徒会直属: 吹奏楽部（2018年に東海大会出場、金管パートは全国大会出場）、バトン部。

著名な関係者

本校からは、様々な分野で活躍する多くの卒業生を輩出しています。

- 石原壮一郎（コラムニスト）
- 一色克美（三重テレビ放送アナウンサー）
- 井土紀州（映画監督）
- 濱口誠（参議院議員）
- 田村憲久（衆議院議員）
- 竹内秀樹（実業家、クラギ株式会社代表取締役社長）
- 大辻隆弘（歌人。本校で教鞭を執った経験も持つ）
- 岡野八代（政治学者）
- 竹内克（ラグビーコーチ）
- 玉井希絵（女子ラグビー15人制日本代表選手）

これらの卒業生は、各分野で社会に貢献しています。

もう一度検索