大辻隆弘

大辻隆弘（おおつじ たかひろ）

概要

大辻隆弘は、1960年8月25日生まれの日本の歌人、文芸評論家です。現代歌人協会会員、現代歌人集会理事、日本文藝家協会会員、中部日本歌人会副委員長、一般社団法人未来短歌会理事長・歌誌「未来」編集発行人・選者、同人誌「レ・パピエ・シアン・Ⅱ」代表など、多岐にわたる活動を展開しています。また、元皇學館大学講師、元津西高等学校教員、宮中歌会始選者も務めるなど、教育分野でも活躍しました。

生い立ちと短歌との出会い

三重県松阪市稲木町で生まれた大辻は、三重県立松阪高等学校を卒業後、1979年に龍谷大学文学部哲学科に入学しました。大学院時代にNHKの短歌番組をきっかけに作歌を始め、1985年に龍谷大学大学院文学研究科（哲学）を修了しました。翌1986年には未来短歌会に入会し、歌人・岡井隆に師事しました。

作歌活動と文学的業績

1989年に第一歌集『水廊』を出版し、三重県文学新人賞を受賞しました。1990年には、谷岡亜紀、加藤孝男、大野道夫らと共同で同人誌『ノベンタ』を創刊。その後、1993年に第二歌集『ルーノ』、1996年には評論集『子規への溯行』を出版。1999年には同人誌「レ・パピエ・シアン」に参加しました。2007年には、第五歌集『夏空彦』、第六歌集『兄国』、評伝『岡井隆と初期未来』を同時に発表。2008年には時評集『時の基底』、2009年には評論集『アララギの脊梁』、時評集『対峙と対話』（吉川宏志との共著）を刊行するなど、精力的に活動を続けています。

受賞歴

大辻の文学的な功績は数々の賞によって認められています。1997年に三重県文化奨励賞を受賞したのをはじめ、1998年には第三歌集『抱擁韻』により第24回現代歌人集会賞、2003年には第四歌集『デプス』により第8回寺山修司短歌賞を受賞しました。2009年には第18回中日歌人会梨郷賞、2010年には『アララギの脊梁』で第8回日本[[歌人クラブ評論賞]]と第12回島木赤彦文学賞をダブル受賞。2016年には『近代短歌の範型』で第3回佐藤佐太郎[[短歌賞]]、2018年には『景徳鎮』で第29回斎藤茂吉短歌文学賞を受賞しています。2023年には『樟の窓』で第15回小野市詩歌文学賞（短歌部門）を受賞し、宮中歌会選者に就任。2024年には『橡と石垣』で第29回若山牧水賞を受賞するなど、その活躍は目覚ましいものがあります。

未来短歌会と「未来」

2020年7月には、師である岡井隆の後を継ぎ、一般社団法人未来短歌会理事長・「未来」編集発行人に就任し、短歌界の発展に大きく貢献しています。

主な著書

歌集『水廊』（砂子屋書房、1989）
歌集『ルーノ』（砂子屋書房、1993）
評論集『子規への溯行』（砂子屋書房、1996）
歌集『抱擁韻』（砂子屋書房、1998）
歌集『デプス』（砂子屋書房、2002）
選集『大辻隆弘歌集』（砂子屋書房・現代短歌文庫48、2003）
選集『大辻隆弘集』（邑書林・セレクション歌人9・2004）
歌集『夏空彦』（砂子屋書房、2007）
歌集『兄国』（短歌新聞社、2007）
評論『岡井隆と初期未来―若き歌人たちの肖像』（六花書林、2007）
時評集『時の基底』（六花書林、2008）
評論集『アララギの脊梁』（青磁社、2009）
時評集『対峙と対話』（吉川宏志共著・青磁社、2009）
歌集『汀暮抄』（砂子屋書房、2012）
歌集『水廊』（再版・現代短歌社・第1歌集文庫、2013）
評論集『近代短歌の範型』（六花書林、2015）
講演集『子規から相良宏まで』（青磁社、2017）
歌集『景徳鎮』（砂子屋書房、2017）
評論集『新版　子規への溯行』（増補版・現代短歌社・現代短歌社選書、2017）
評論『佐藤佐太郎』（笠間書院・コレクション日本歌人選71、2018）
歌集『樟の窓』（ふらんす堂、2022）
評論『岡井隆の百首』（ふらんす堂、2023）
歌集『橡と石垣』（砂子屋書房、2024）

テレビ出演

「列島縦断　短歌スペシャル 第20回」（NHK-BS2）（2005年10月22日）
「列島縦断　短歌スペシャル 第24回」（NHK-BS2）（2007年10月27日）
「ニッポン全国　短歌日和'10秋」（NHK-BS2）（2010年10月24日）
「NHK[[短歌]]」（NHK-Eテレ）（2019年4月 - 2020年3月）

外部リンク

大辻隆弘 (@otsuji28) - X（旧Twitter）
大辻隆弘 題詠100首のために - 本人運営によるブログ
短歌月評:新たな阿佐緒像＝大辻隆弘－ 毎日jp(毎日新聞)
短歌月評:「私の影」に出会う＝大辻隆弘－ 毎日jp(毎日新聞)
短歌月評:啄木と現代＝大辻隆弘－ 毎日jp(毎日新聞)
東郷雄二「今週の短歌　092：2005年2月 第4週　大辻隆弘　または、存在の真実に向かって測鉛を垂らす短歌（大辻隆弘作品書評）
東郷雄二「橄欖追放　第7回　大辻隆弘『子規への溯行』をめぐって」（同上）

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