上原六四郎

上原六四郎は、嘉永元年（1848年）に江戸で生まれ、大正2年（1913年）に没した、日本の音響学者であり美術工芸教育者です。

経歴

上原六四郎は、岩槻藩士の家に生まれました。明治維新後の1869年（明治2年）には、開成学校でフランス語を学び、翌年には大学少得業生となりました。その後、文部省に入省し、少助教として勤務しました。また、陸軍士官学校にも出仕し、軽気球製作の御用取扱を命じられるなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

1882年（明治15年）からは、文部省専門学務局音楽取調掛に勤務し、音楽教育の分野に携わるようになりました。その後、東京職工学校や東京商業学校で教諭を務めました。1889年（明治22年）には、東京美術学校の数学講師となり、翌年には東京工業学校の教諭と東京美術学校の教諭を兼任しました。

1890年（明治23年）には、東京工業学校の教授と東京美術学校の教授に昇進し、翌年には東京工業学校附属職工徒弟学校の主事にも就任しました。1891年（明治24年）には、東京音楽学校の教授と東京美術学校の教授を兼任するようになり、音楽教育と美術教育の両分野で重要な役割を担いました。1893年（明治26年）に東京音楽学校が高等師範学校附属音楽学校に改編されると、その主事に任命され、教育行政にも携わりました。また、1898年（明治31年）には、東京美術学校で応用化学の授業を担当するなど、幅広い知識と技能を持っていたことがうかがえます。

1899年（明治32年）には、東京音楽学校が再び独立すると、高等師範学校の教授と東京音楽学校の教授を兼任し、高等師範学校では手工専修科の主任教授を務めました。1902年（明治35年）に退官しましたが、その後も東京音楽学校で音楽史や音響学の講師として教鞭をとり、東京高等師範学校でも手工科の講師を務めました。

上原六四郎は、教育者として多くの人材を育成しただけでなく、音響学の分野でも研究を行い、日本の音楽史における重要な業績を残しました。彼の多岐にわたる活躍は、明治期の日本の教育と科学技術の発展に大きく貢献しました。

著書

『俗楽旋律考』(金港堂、1895年、のち岩波文庫)

参考文献

『日本現今人名辞典 第3版』日本現今人名辞典発行所、1903年。
「正四位勲五等上原六四郎」 アジア歴史資料センター Ref.A10112762500

関連項目

鈴木米次郎

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