上原敦男

上原敦男は、1947年に生まれた日本の新左翼活動家であり、特に共産主義者同盟赤軍派の幹部としてその名を知られています。彼が活動を展開したのは、日本の政治および社会情勢が大きく揺れ動いた1960年代末から1970年代初頭にかけての時期でした。この時代は、学生運動が各地で過激化し、社会全体に大きな影響を与えていた特異な期間です。

上原氏は、香川県立高松商業高等学校を卒業した後、東京へと進み、明治大学の第二部政経学部、いわゆる夜間学部に籍を置きました。昼間は働きながら学ぶという環境で、彼は並行して学生運動の世界へと深く関わっていくことになります。大学では社会主義学生同盟に加わり、活動家としての第一歩を踏み出しました。また、明治大学内の現代思想研究会という場で、彼は後に日本の新左翼運動において重要な役割を果たすことになる人物たちと行動を共にしました。具体的には、パレスチナでの活動で知られる重信房子氏や、同じく運動の主要メンバーであった遠山美枝子氏らが挙げられます。こうした仲間たちとの交流や共同での活動を通じて、上原氏の思想や活動スタイルが形成されていったと考えられます。

彼の経歴の中で特に注目されるのが、1969年1月に行われた東大安田講堂事件への関与です。この事件は、東京大学の学生たちが大学の管理体制などに反発して安田講堂を占拠し、機動隊と激しく衝突したものです。上原氏は、この立てこもり事件において、安田講堂の屋上に籠城した学生グループの一員でした。機動隊による厳しい封鎖と突入作戦が行われる中、彼は最後まで抵抗を続けました。そして、講堂内にいた多くの学生が検挙される中で、上原氏は最後まで屋上に残り、ついに身柄を拘束された最後の学生として記録されています。この事実は、彼が運動に対して持っていた強い意志と、極限状況における行動力、そして当時の学生運動の激しさを物語るものと言えるでしょう。

さらに、上原氏の名前は、1970年3月に発生したよど号ハイジャック事件とも関連付けられています。この事件は、赤軍派のメンバーが日本航空の旅客機『よど号』を乗っ取り、北朝鮮へ向かったという、日本の犯罪史において極めて特異で衝撃的な出来事でした。上原氏は、このハイジャック事件そのものの実行犯ではありませんでしたが、事件を実行するための様々な事前準備に関与していたとされています。具体的な準備の内容については詳らかではありませんが、この準備への関与という容疑に基づき、彼は事件発生から数ヶ月後の1970年6月30日に逮捕されるに至りました。

このように、上原敦男氏の足跡は、1960年代後半から70年代初頭にかけての日本の激動期における新左翼運動、特に共産主義者同盟赤軍派の活動と深く結びついています。彼が関与した東大安田講堂事件やよど号ハイジャック事件は、当時の日本の社会に大きな衝撃を与え、その後の歴史に影響を与えた出来事として記憶されています。上原氏の経歴は、当時の学生たちがどのような思想のもとに活動し、どのような行動をとったのかを理解する上で、一つの重要な事例を提供しています。

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