層雲峡

層雲峡：大自然が織りなす絶景の峡谷

層雲峡は、北海道上川町に位置する、大雪山国立公園を代表する景勝地です。石狩川を挟んで約24kmにも及ぶ断崖絶壁が連なり、その雄大な景観は訪れる人々を魅了します。峡谷を彩る柱状節理の奇岩、豪快な滝、そして豊かな森林が、四季折々の美しい風景を創り出しています。

名前と歴史

層雲峡という名前は、1921年に文筆家の大町桂月が、アイヌ語の「ソウンペッ（滝のある川）」という言葉から着想を得て名付けたと言われています。

峡谷美を堪能する

層雲峡の最大の見どころは、なんと言っても峡谷の景観です。

大函・小函

約3万年前の大雪山の噴火によって堆積した溶結凝灰岩が、石狩川の浸食によって削り出された、高さ200メートルにも及ぶ柱状節理の断崖は圧巻です。大函・小函と呼ばれるこのエリアは、層雲峡の峡谷美を最も間近に感じられる場所です。

流星・銀河の滝

石狩川の左岸に並んで流れ落ちる2つの滝は、「日本の滝百選」にも選ばれています。落差90メートルの流星の滝は、豪快に流れ落ちる様子から雄滝とも呼ばれ、落差104メートルの銀河の滝は、白糸のように優雅に流れ落ちる様子から雌滝とも呼ばれています。寄り添うように流れる姿から、夫婦滝とも称されるこの2つの滝は、層雲峡を代表する景観の一つです。

駐車場や展望台が整備されており、間近で2つの滝を眺められるほか、少し登れば2つの滝を同時に見渡せる絶景スポットもあります。

大雪山黒岳へのアクセス

層雲峡温泉街からは、大雪山黒岳の7合目までロープウェイとリフトを使ってアクセスできます。7合目から山頂までは約1時間ほどで登ることができ、手軽に登山を楽しめます。ただし、7月まで残雪があることや、9月には初雪が降るため、相応の登山装備が必要です。

台風被害と復興

かつては手つかずの原生林が広がっていた層雲峡ですが、1954年の洞爺丸台風で多くの風倒木が発生しました。その後、山火事や害虫対策として風倒木が搬出され、一時的に林業が栄えました。

倒木処理後は自生種による植林が行われましたが、気候条件が厳しく、生育が思わしくありませんでした。試行錯誤の結果、アカエゾマツが選ばれ、現在、層雲峡に広がるアカエゾマツの森林は、植林によって作られたものです。

落石対策と復旧

層雲峡の国道39号は、かつて断崖絶壁の真下を通るルートでした。その道沿いには、「天城岩」や「神削壁」など、迫力ある岩壁がそびえ立ち、観光客にとっては見どころの一つでした。しかし、その反面、落石の危険性が高い場所でもありました。

1979年に「小函トンネル」が建設されましたが、その後も落石は頻発しました。1987年には、天城岩の一部が大規模に崩落し、走行中の車両を直撃する大惨事が起きました。

この事故をきっかけに、危険箇所をトンネルで迂回するルートに変更されました。1995年に「銀河トンネル」が開通し、現在は安全なルートが確保されています。

旧道の一部は、観光用に整備され、「小函遊歩道」として活用されていましたが、2004年以降、落石の危険性のため、全線通行止めとなっています。現在、この区間の再開に向けて調査検討が行われています。

層雲峡は、豊かな自然と歴史が織りなす、魅力的な観光地です。訪れるたびに新しい発見があるでしょう。

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