上意討ち 拝領妻始末

上意討ち 拝領妻始末

概要

『上意討ち 拝領妻始末』は、1967年5月27日に公開された日本映画で、三船敏郎や仲代達矢などの名優が出演しています。この作品は滝口康彦の小説を原作とし、時代劇として封建制の冷酷さや非人間の矛盾を描いています。映画の形式は白黒で、128分の長さです。

この映画は、会津に仕える藩士笹原家の悲劇を中心に物語が進みます。主君の命令に従わざるを得ない藩士たちの苦悩や、愛する家族との葛藤が描かれ、観客に深い感情を引き起こします。優れた評価を受けており、第28回ヴェネツィア国際映画祭で国際映画評論家連盟賞を獲得し、昭和42年のキネマ旬報日本映画第1位にも選ばれています。さらに、作品は1992年と2013年にテレビドラマとしてリメイクされています。

ストーリー

1725年（享保10年）、会津松平家に仕官する笹原伊三郎（演：三船敏郎）は、息子の与五郎（演：加藤剛）に孫を望む気持ちを語ります。その後、藩の御側用人から与五郎に、藩主のお手付きの女性を嫁として迎え入れるよう指示が下されます。元々藩主の寵愛を受けていた妻はいち（演：司葉子）であり、彼女は藩主に対し逆上し暴力を振るった過去を持っていました。そうした経緯を無視し、藩命に従わざるを得ない伊三郎と与五郎は、いちを嫁として迎えることにします。

いちは新しい家庭環境において、姑からのいびりにも耐えつつ良妻としての姿勢を示しますが、彼女の過去に対する疑問を感じる伊三郎は、与五郎に妻を大切にするよう諭します。二人は仲むつまじく過ごし、やがて娘も授かります。しかし、幸せな日々は藩主の嫡子が急逝との知らせで崩れ去ります。いちの子が世継ぎとして注目されるようになり、藩内では生母であるいちを一介の藩士の妻として置くことはできないとされ、与五郎には藩からいちを奥に戻せとの命令が下ります。

与五郎は理不尽な藩命に憤り、いちもまた断固として拒否します。最初は形式的なお願いをしていた上役も、強硬な拒絶に直面し、脅しをかけ始めます。伊三郎は二人に支え合うことを促し、与五郎は藩の重役に嘆願書を提出しますが、その内容は藩の方針を批判するものであり、藩との確執は避けられなくなります。いちは藩に逆らい、夫と共に生きる道を選ぶことに決意し、与五郎もそれを支持します。

ところが、藩の刺客が忍び寄り、与五郎が命を落とす悲劇が待ち受けています。二人は結ばれたまま絶命し、伊三郎は彼らの遺体を弔い、藩の非道を江戸に知らせようと旅立つのです。最後には運命に抗いながらも追手に囲まれ、消えていく運命を迎えます。物語は、愛と義務、そして運命に翻弄された人々の姿を痛烈に描写しています。

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