上杉憲寛

上杉憲寛（うえすぎ のりひろ）は、戦国時代に生きた武将であり、古河公方足利氏の流れを汲む人物です。彼は上杉氏（山内上杉家）の14代当主として、関東管領の要職を務めました。関東管領としては上杉憲広（うえすぎ のりひろ）と名乗り、後に足利晴直（あしかが はるなお）と改名しています。

生涯

古河公方・足利高基の次男として生まれた憲寛は、幼名を賢寿王丸（けんじゅおうまる）と名付けられました。大永5年（1525年）4月、関東管領であった上杉憲房（山内上杉氏）が亡くなると、その子・憲政がまだ幼かったため、憲房の養子となり、山内上杉氏と関東管領の地位を継承しました。この時、憲広と称するようになります。

当時の関東地方は、扇谷上杉家の上杉朝興（うえすぎ ともおき）が台頭し、後北条氏との間で勢力争いが激化していました。朝興は、江戸湾の支配を巡って後北条氏と対立していた小弓公方・足利義明（あしかが よしあき）との連携を模索し、上杉一族の結束を目指して憲寛にも協力を求めました。憲寛はこれに応じましたが、彼の実父・高基とその弟である義明は、古河公方の地位を巡って対立関係にありました。朝興を介して義明と同盟を結んだ憲寛は、結果として父・高基や兄・晴氏とも戦うという複雑な状況に陥ります。

享禄4年（1531年）には、関東享禄の内乱と呼ばれる戦乱が勃発し、その結果、憲寛は関東管領の職を失うことになります。同年9月2日、上杉憲政が新たな関東管領に就任し、憲広は晴直と改名しました。関東管領を退いた後、憲寛は古河に戻り、その後、真里谷信政（まりや さねまさ）の勧めによって上総国宮原（かずさのくに みやはら）に移り住みました。

天文20年（1551年）2月24日、憲寛は宮原で生涯を閉じました。法名は春敲院得月道台（しゅんこういんとくげつどうたい）と言います。彼の孫である宮原義照（みやはら よしてる）の代から宮原氏を称するようになり、宮原氏は江戸幕府の旗本として存続しました。

家族

父：足利高基
母：宇都宮正綱の娘
兄弟：晴氏、義明
妻：足利義明の娘
* 子：義勝

上杉憲寛は、激動の戦国時代において、関東地方の政治・軍事の要職を担い、複雑な人間関係の中で翻弄されながらも、自身の家系を存続させることに尽力しました。彼の血筋は、宮原氏として江戸時代まで命脈を保ち、歴史に名を残しています。

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