足利高基

足利高基（あしかが たかもと）

足利高基は、戦国時代の武将であり、室町幕府の有力な地方支配機構であった古河公方の三代目当主です。在職期間は永正9年（1512年）から天文4年（1535年）までです。父は第二代古河公方の足利政氏で、母は不詳です。正室には、宇都宮成綱の娘である瑞雲院を迎えています。

生涯

高基は明応4年（1495年）に元服し、当初は室町幕府第11代将軍・足利義高（後の義澄）から一字を与えられ、高氏（たかうじ）と名乗りました。しかし、この名は初代将軍・足利尊氏の初名と重複するため、初代鎌倉公方・足利基氏（尊氏の子）の名から一字を取り、高基（または義基）と改名しました。

高基の人生は、父・政氏や、叔父（または兄弟ともされる）の上杉顕実との対立に彩られています。上杉氏の政策を巡る確執から、父との関係が悪化し、一時的には宇都宮成綱のもとに身を寄せることになりました。この混乱期には、高基の弟・足利義明が独立し、小弓公方を称する事態も発生しています。

その後、高基は岳父である宇都宮成綱の支援を受け、結城政朝や小田政治といった有力武将たちと共に、古河公方としての地位を確立するべく行動を開始します。永正9年（1512年）には古河公方となり、扇谷上杉家や山内上杉家といった関東の有力勢力と対抗し、勢力拡大に尽力しました。特に、永正13年（1516年）の縄釣の戦いでは、宇都宮成綱が政氏方の佐竹義舜を破ったことで、高基の古河公方としての地位は確固たるものとなりました。

後に山内上杉家とは和解し、次男の晴直（後の上杉憲寛）を養子として送り込んでいます。また、宇都宮成綱の死後も、嫡子の忠綱との関係は良好であったことが、忠綱に宛てた書状から確認できます。しかし、晩年には嫡男の晴氏との間に不和が生じ、関東享禄の内乱へと発展する事態を招いています。

偏諱を与えた人物

足利高基は多くの人物に偏諱を与えており、その影響力の大きさを物語っています。

足利基頼（もとより）: 実弟であり、天文7年（1538年）の第一次国府台合戦で北条軍に討たれました。
大関高増: 大田原資清の子
小山高朝: 結城政朝の子
那須高資
二階堂高盛（たかもり）: 家臣、二階堂氏一族
簗田高助: 家臣
簗田基良（もとよし）: 高助の弟
簗田基助（もとすけ）: 高助・基良の従兄弟


上記のように、高基は「高」の字を将軍・足利義高から、「基」の字を鎌倉公方・足利基氏からそれぞれ授与されたものであり、これらの文字を他の武将に与えることで、自身の権威を示しました。

足利高基は、戦国時代の激しい動乱の中で、古河公方としてその勢力を維持、拡大するために奔走した人物です。父との対立、上杉氏との抗争、そして晩年の嫡男との不和など、波乱に満ちた生涯を送りました。しかし、その一方で、多くの武将に偏諱を与え、関東地方に大きな影響を与えた人物であったと言えるでしょう。

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