上杉朝定 (扇谷上杉家)

上杉朝定：戦国時代の武将

上杉朝定（うえすぎ ともさだ）は、戦国時代の武将として扇谷上杉家の実質的な最後の当主として知られています。彼は1525年に生まれ、武蔵国の松山城を領有していました。彼の短い生涯は、動乱の時代に戦国と平和の両方を体験し、数々の興亡を見守りながら展開されました。

略歴

上杉朝定は、大永5年（1525年）に上杉朝興の子として生を受けました。彼が当主に就任したのは、父が死去した天文6年（1537年）のことです。この年、朝定はわずか12歳で家督を継いだのです。

彼が属する扇谷上杉家は、後北条氏との対立が続いていました。若年の朝定は、敵対勢力に対抗するため、武蔵府中・深大寺に深大寺城を築城しました。しかし、その当時、北条氏綱が朝定の家督相続を好機と捉え、7月には河越城を攻める事態に発展しました。朝定は敗北してしまい、松山城に戻ることになります。

和睦と連携

天文10年（1541年）、朝定は長年の宿敵である山内上杉家の上杉憲政と和解しました。彼の主な標的は北条氏康でした。同年の後半、朝定は今川義元と連携し、北条氏に対抗する大包囲網を形成しました。

天文14年（1545年）、義元が挙兵し、北条氏康が駿河へ赴く隙を突いて、朝定は憲政や古河公方の足利晴氏と連合を組み、約8万人の軍を動員して河越城を攻撃しました。北条綱成の指揮する北条軍が善戦したものの、朝定軍は落城寸前まで追い込むことに成功しました。

大敗と死

しかし、翌年の天文15年（1546年）4月20日、今川との戦を終え、河越城を守るために帰還した氏康の奇襲行動により、連合軍は大敗を喫しました。この戦いで、朝定は討ち死にしたとされており、彼の死去により、扇谷上杉家は断絶することとなります。

しかし、朝定がどのようにして命を落としたのかという具体的な記録は残っておらず、彼が病死であった可能性も考えられています。連合軍の崩壊の原因についても、北条軍の奇襲が直接的な要因ではなく、朝定の突然死がその背景にあるとの説も存在します。

扇谷上杉家のその後

朝定の死により、扇谷上杉家はその歴史に幕を閉じました。後に、扇谷家の庶流である上杉憲勝が上杉謙信の支援を得て再興を試みるものの、まもなくして後北条氏に屈服してしまいます。彼の短くも激動の人生は、戦国時代の悲劇を象徴するものとなりました。

上杉朝定を題材にした作品

上杉朝定をモチーフにした作品もいくつか存在します。特に、NHKの大河ドラマ『風林火山』（2007年）では、朝定の人生が描かれています。このドラマにおいて、彼は竹本純平によって演じられました。朝定の存在は、戦国時代の英雄たちと同様に多くの人々の記憶に刻まれています。

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