上杉朝昌

上杉朝昌とその周辺人物

上杉朝昌（うえすぎ ともまさ）は、室町時代から戦国時代にかけて活躍した武士であり、相模国七沢城を拠点としたことから七沢朝昌とも呼ばれることがあります。本記事では、朝昌の生涯や彼に関連する家族、特に子孫についても詳述します。

生涯

上杉朝昌は上杉持朝の子として生を受けましたが、彼の生涯には謎が多く存在します。初めは僧侶として京都の相国寺に在籍し、本東という名前で知られていました。彼が歴史に登場するのは、長禄2年（1458年）に父の名代として足利義政に拝謁したことがあると考えられています。

その後、享徳の乱（1455年～）の初期には相国寺の鹿苑院で僧侶として生活していた彼が、何らかの理由で還俗して扇谷上杉氏の領国経営に関わるようになります。朝昌は相模の七沢城を獲得し、また後に大庭城も守備することで、両郡の支配を実質的に担当する立場に成長しました。彼の環境は、政治的にも重要な位置を占めていたことを示しており、文明12年（1480年）には足利義政・義尚父子に向けて贈り物を行うなど、幕府との関係も築いていたと考えられます。

文明8年（1476年）から発生した長尾景春の乱では、朝昌は太田道灌や千葉自胤らと共に豊島泰経の攻撃に参戦しました（江古田・沼袋原の戦い）。また、1494年に兄の定正が亡くなった後は、自らの子である朝良の後見役となりますが、北条早雲の進出により自らの力は次第に弱まっていきます。

晩年

明応8年（1499年）には父・持朝の三十三回忌法要が執り行われ、この時生存していた持朝の男子は三人のうちの一人として名を残します。永正年間に再び出家し、光迪という名を名乗ったことは確認されていますが、その後の行動については詳しい情報が残っていません。以降、朝昌の生涯は不透明な部分が多いまま、71歳での逝去が伝わっています。

子女の紹介

東永

東永は建長寺の僧侶であり、江戸幕府が編纂した『新編武蔵風土記稿』において、現在の東京都江戸川区周辺を開発した宇田川氏は彼の子孫であるとされています。

上杉朝寧（うえすぎ ともやす）

生没年は不詳ですが、上杉朝昌の子であり、法名は浄安です。『上杉系図別本』によれば、彼の名は朝憲でもあり、朝良の兄に当たります。官位は民部少輔として記録されているものの、具体的な事績は伝わっていません。彼の子孫である朝興は、最終的に扇谷上杉家の当主となります。

上杉憲房の正室

朝昌の娘である上杉憲房の妻となりますが、大永5年（1525年）に憲房が亡くなると実家に戻ります。その後、享禄3年（1530年）に当時の当主である甥の朝興の意向で武田信虎の側室に迎えられます。憲房と信虎の結婚、また3年後には朝興の娘と信虎の嫡子との婚姻によって、扇谷上杉氏と武田氏との密接な関係が築かれ、両者の同盟も強化されることとなります。

上杉朝昌の生涯は、戦国時代という激動の中での武士の姿を映し出しています。彼の子孫や関連人物とのつながりは、歴史的な背景を理解する上で重要な要素となるでしょう。

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