千葉自胤

千葉自胤（ちば よりたね/これたね）

千葉自胤は、室町時代中期から戦国時代前期にかけての武将で、武蔵千葉氏の第3代当主です。室町幕府からは千葉氏の当主として認められていました。

生涯

享徳の乱において、古河公方足利成氏に味方した重臣、原胤房とその同族である馬加康胤によって、伯父の胤直、従兄の胤宣、父の胤賢ら一族を殺害されるという悲劇に見舞われました。兄の実胤とともに下総八幡荘市河城へと逃れました。室町幕府8代将軍足利義政が派遣した同族の奉公衆、東常縁の支援を得ましたが、成氏が派遣した簗田持助に敗れ、康正2年（1456年）1月19日に市河城も陥落し、武蔵へと落ち延びました。しかし、同年中に常縁が馬加康胤・胤持父子を討ち取り、原胤房も逃亡しました。

その後、兄の実胤は石浜城（現在の台東区橋場）の城主となり、自胤は赤塚城（現在の板橋区赤塚）の城主となりました。康正3年（1457年）4月には、外戚である扇谷上杉家の家宰、太田道灌が江戸城を築城するなど、古河公方側に圧力をかけ続けました。しかし、自胤らは確たる所領を持たなかったため経済的に困窮し、下総への帰還もままならない状況でした。

後に兄が隠遁したため、自胤が石浜城主となり、幕府から千葉氏当主として認められます。しかし実際には、下総において分家の印東庄岩橋村（現在の酒々井町岩橋）の領主である岩橋輔胤らが本佐倉城を築城するなど反抗を続け、その子である孝胤は千葉氏当主を自称しました。幕府と対立していた成氏も孝胤を頼らざるを得なかったため、これを認め、自胤の下総帰還は叶いませんでした。東常縁も文明元年（1469年）4月に応仁の乱で斎藤妙椿に美濃の所領を横領されたため、息子の縁数を下総に残して帰京し、軍事力も低下しました。

文明10年（1478年）1月、山内上杉家・扇谷上杉家と成氏が和解しましたが、長尾景春と組んだ孝胤は和睦に反対しました。成氏の合意もあり、12月には太田道灌の支援を背景にして孝胤追討に立ち上がり、12月10日には境根原合戦で勝利しました。孝胤らは軍勢をまとめて退却し、臼井城（現在の佐倉市臼井田）に籠城しましたが、文明11年（1479年）7月15日に落城させ、下総・上総の大半を制圧しました。しかし、この20年の間に輔胤・孝胤による千葉領支配体制は既に完成しており、同地に支持勢力を持たなかった自胤は、上杉氏の内紛に巻き込まれていく中で撤退を余儀なくされました。結果として、孝胤の子孫による下総千葉氏の継承が確定しました。

自胤の子孫は武蔵に定着し、小規模な勢力しか持たない国人へと転落していきました。

創作作品における自胤

曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』に「千葉介自胤」として登場します。

南総里見八犬伝の登場人物#千葉介自胤を参照してください。

脚注

千葉氏の一族

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