上杉清子

上杉清子について

上杉清子（うえすぎ きよこ）は、鎌倉時代の末期から室町時代の初期にかけて活動した女性です。彼女は文永7年（1270年）に生まれ、本姓は藤原氏に属し、上杉氏の勧修寺流の一族に属していました。父親は上杉頼重で、彼女自身は足利貞氏の側室として知られています。また、足利尊氏やその弟直義の母でもありました。彼女の家族関係は非常に複雑で、多くの著名な武将たちとつながりがあります。

略歴

上杉清子は、多くの兄弟姉妹を持ち、上杉重顕（扇谷上杉家の祖）、上杉憲房、日静が兄弟にあたります。また、甥には上杉憲顕（山内上杉家の祖）、憲藤（犬懸上杉家の祖）などがいます。彼女の従兄弟には山名時氏がいます。生年については、『三宝院賢俊僧正日記』の記述から逆算され、文永7年に生まれたとされています。

嘉元3年（1305年）、清子は足利尊氏を出産しました。この際、紀伊国の粉河寺に観音に祈願したことが記録されています。その結果、清子は建武3年（1336年）に粉河寺に戸帳を寄付するとともに、翌年には土地を寄進しました。

尊氏を含む足利家にとって、清子は非常に重要な役割を果たしました。夫の貞氏が亡くなった後も彼女は足利家を支え続けました。特に尊氏と直義兄弟が倒幕に動いた際には、彼らと共に行動し、その戦略を支える存在となりました。室町幕府が成立した後は、実家である上杉家の繁栄に尽力しました。

清子は「浄妙院殿雪庭」と号し、広く「錦小路殿」とも呼ばれていました。また、彼女は「大方禅尼」としても知られ、和歌に親しみ、作品が『風雅集』にも収められています。 彼女の法号は「果証院殿」であり、最終的には京都の等持院に埋葬されています。

文化的影響

上杉清子の生涯は、当時の社会における女性の役割を考察する上で重要な資料を提供します。彼女は足利家の女性として、社会の中で強い影響力を発揮したことがわかります。また、その文学的な才能も彼女の特徴です。

メディアへの登場

上杉清子は、1991年に放映されたNHK大河ドラマ『太平記』にも登場し、女優の藤村志保によって演じられました。この作品を通じて、彼女の人物像や当時の歴史的背景をより広く知る機会となりました。

参考文献

• - 櫻井彦、樋口州男、錦昭江 編 『足利尊氏のすべて』新人物往来社、2008年10月。ISBN 978-4-404-03532-5。

上杉清子は、強い意志を持ちながら、家族と時代に翻弄された女性の一人であり、その生涯は今でも多くの人々に影響を与えています。

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