上泉町 (前橋市)

前橋市 上泉町

上泉町（かみいずみまち）は、群馬県前橋市の地名であり、郵便番号は371-0007が割り当てられています。2013年時点での面積はおよそ3.89平方キロメートルです。

地理

上泉町の地形は、地域によって異なる特徴を持っています。南部は広瀬川によって形成された低地帯が広がり、肥沃な土地が見られます。一方、北部は雄大な赤城山の南麓に続く緩やかな斜面となっており、標高が徐々に高まります。町域内には桃ノ木川や藤沢川が流れ、特に南部ではこれら二つの河川が合流する地点があります。

歴史

上泉という地名は古くから確認されており、南北朝時代の記録にもその存在が見られます。具体的には、康暦3年（1381年）に作成された「藤原政宗請文」（長楽寺文書に収録）の中に「上泉村」の名が記されています。

戦国時代には、大胡氏の一族とされる上泉氏がこの地を根拠地とし、上泉城を築いたと伝えられています。その後、天正18年（1590年）8月、平岩親吉が前橋城主となると、上泉村はその所領の一部となりました。江戸時代を通じて、上泉村は一貫して前橋藩の領地として存続しました。宝永年間（1704年～1711年）には、村の一部が堤村として分立しています。

近代に入り、明治22年（1889年）4月1日に町村制が施行されると、上泉村は周辺の12村（三俣、江木、堤、亀泉、堀之下、石関、東片貝、西片貝、幸塚、上沖之郷、下沖之郷、荻窪）と合併し、南勢多郡に桂萱村が誕生しました。明治29年（1896年）4月1日には、南勢多郡と東群馬郡の統合により、桂萱村は勢多郡に所属が変更されました。

昭和時代に入ると、交通網の整備が進みました。昭和3年（1928年）11月10日には上毛電気鉄道上毛線が開業し、町内に上泉駅が設置されました。さらに昭和8年（1933年）12月18日には赤坂駅も開業し、町内に二つの駅が設けられることとなりました。

戦後、昭和29年（1954年）4月1日、桂萱村は前橋市に編入合併され、これまでの上泉村域が前橋市上泉町となりました。その後、昭和52年（1977年）には、町域の一部が西片貝町一丁目および二丁目として分離されました。

近年の交通網の変化としては、平成20年（2008年）6月22日に国道17号上武道路の一部区間（群馬県道3号前橋大間々桐生線まで）が暫定的に開通しました。さらに平成24年（2012年）12月22日には、その終点が上細井町の群馬県道4号前橋赤城線まで延伸され、利便性が向上しています。

交通

町内には、上毛電気鉄道上毛線が通り、上泉駅と赤坂駅の二つの駅が利用可能です。道路交通としては、幹線道路である国道17号上武道路が通過するほか、群馬県道3号前橋大間々桐生線や群馬県道76号前橋西久保線といった主要な県道が町内を結んでいます。

主要施設・名所

上泉町には、地域住民の生活を支える施設や、歴史を感じさせる名所が点在しています。教育機関としては、前橋市立桂萱中学校、前橋市立桂萱小学校、前橋市立桂萱保育所があります。桂萱保育所は、昭和31年（1956年）に地域婦人会が季節保育所を開設したことに端を発し、昭和33年（1958年）に市立として正式に設置されました。

公共施設としては、関東運輸局群馬運輸支局や前橋上泉郵便局が置かれています。前橋上泉郵便局は、昭和4年（1929年）に桂萱郵便取扱所として開設され、昭和43年（1968年）に現在の名称に改称されました。

歴史的な建造物としては、上泉郷蔵があります。棟札から寛政8年（1796年）の建築と確認されており、上泉城の本丸跡とされる場所に位置しており、群馬県の指定史跡となっています。また、直径30メートルの円墳である新田塚古墳は、7世紀中期以降に造られたとみられており、前橋市の指定史跡です。『上毛古墳綜覧』では桂萱村題1号墳として記録されています。

信仰の場としては、旧村社である諏訪神社があり、その獅子舞は前橋市指定重要無形民俗文化財に指定されています。寺院も複数存在し、天台宗の宝禅寺には、前橋市指定文化財である異型板碑が所蔵されています。その他、曹洞宗の西林寺や新義真言宗の玉泉寺などがあります。

これらの施設や歴史的遺構は、上泉町が長い歴史を経て培ってきた文化や暮らしを今に伝えています。

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