上田温泉電軌青木線

青木線（あおきせん）について

青木線は長野県上田市の上田駅から小県郡青木村の青木駅までを結んでいた運行路線で、上田温泉電軌によって運営されていました。この路線は1938年に廃止され、その過程や歴史は興味深いものです。青木線の開業は1921年で、当初は上田市の三好町駅からスタートしました。

路線の概要

青木線は千曲川の左岸に位置しており、国道143号線上の併用軌道として建設されました。上田市から青木村に通じるこの路線では、当時の主要な交通手段として利用され、特に観光地へのアクセスとしての役割もありました。1924年には千曲川鉄橋の開通と共に起点が上田駅に変更され、それにより専用軌道としての運行が始まりました。

運行区間は上田 - 青木の約11.4 kmで、当初は14の駅が設置され、特に城下 - 上田原間は変則複線が採用されていました。しかし、経営上の理由から全区間が専用軌道化されることはなかったため、1938年に併用軌道部分が廃止され、結果的には青木線は事実上運行を終えました。

歴史と廃止の経緯

青木線のルーツは上田丸子電鉄や丸子鉄道にさかのぼります。上田温泉電軌は主に温泉地へのアクセスを目的として設立された会社であり、観光路線としての色合いが強いものでした。最初の路線開通からわずか17年後、早くも青木線はその事業を終えることになりました。

1919年に設立された上田温泉軌道は、青木線の三好町 - 青木間の軌道敷設を申請し、1921年に運行を開始しました。運行当初は、路面電車として知られるスタイルで、各駅が長野県道2号線を利用する形で連結されていました。その後、千曲川鉄橋の開通によって、運行ルートの変更が行われ、専用軌道への移行が進みました。

しかし、経営は芳しくなく、結局は1938年に併用軌道の部分が廃止され、青木線は完全に運行を終えることとなります。

使用されていた車両

青木線では様々な車両が運用されており、特にデ1形やサ1形などが主要な車両として使用されました。開業時に導入されたデ1形は、ポール集電を用いた四輪単車で、地方の路面電車としては非常に典型的な存在でした。これらの車両は非電化のトラブルや車輪の設計問題なども抱え、1932年からは順次廃車が進んでいきました。

戦後には、青木線を復活させる計画も立てられたものの、結局は実現しませんでした。これにより、青木線は歴史の一部として名を残すことになりました。

現在の様子

青木線が廃止された後、その一部は現在の別所線に統合され、上田 - 上田原間は別所線の一部として存続しています。当時の駅跡や鉄道用地は、今なお一部が残されているため、歴史を感じる場所とも言えます。

青木線の歴史は長野県における鉄道の発展の重要な一環であり、その運行の様子や使用車両、地域との関わりを知ることは、歴史的な観点からも非常に意義があります。本路線の廃止は、転換期にあった日本の交通史を反映する一例と言えるでしょう。

もう一度検索