上総酒井氏

上総酒井氏とは

上総酒井氏は、戦国時代に上総国（現在の千葉県中部）で勢力を誇った地方領主（国人）です。本拠地は東金城（現在の東金市）にありましたが、土気城（現在の千葉市緑区）にも影響力を持ち、上総国北部を支配しました。

初代当主と出自の謎

初代当主は酒井定隆とされていますが、古文書に登場する「酒井清伝」という人物が初代ではないかという説もあります。清伝を定隆の別名とする説と、定隆を架空の人物とする説があり、定隆の出自についても、美濃国土岐氏の一門、三河酒井氏の一門、丹波国の酒井氏の支族、藤原秀郷流波多野氏の一族など諸説があり、特定されていません。

勢力の拡大と分裂

定隆は長享2年（1488年）に土気城に入り、その後、東金城にも勢力を拡大しました。その子孫は、土気を拠点とする長男の定治の系統と、東金を拠点とする三男の隆敏の系統に分かれました。また、大永年間には、古河公方足利高基に近侍した酒井昌敏という人物が、土気城に近い金剛地（現在の市原市）に所領を与えられたという記録もあり、土気・東金以外にも酒井氏一族が広がっていた可能性が指摘されています。酒井昌敏は古河公方派に属していたと見られ、その一族が滅ぼされた後に、小弓公方派であった酒井胤治が土気城を獲得したという説もあります。

法華宗との関わり

上総酒井氏は、備前松田氏と並んで熱心な法華宗徒の領主としても知られています。その領国は「七里法華」と称され、寺院や住民のほとんどが法華宗に改宗させられたと伝えられています。

北条氏と里見氏の間で

第一次国府台合戦後、北条氏の勢力が上総国にまで拡大すると、上総酒井氏は北条氏と里見氏の間で板挟みとなります。第二次国府台合戦では、土気酒井氏の胤治は里見氏に寝返り、敗走する里見軍を援護し、北条軍の追撃を阻止しました。

北条氏の支配下へ

その後、上総酒井氏はたびたび北条氏からの攻撃を受け、天正4年（1576年）に北条氏に降伏。これにより、北条氏による東上総の支配が確定的となり、上総酒井氏は里見氏に対する備えを担うことになりました。

小田原征伐後の動向

小田原征伐で北条氏が敗北すると、上総酒井氏は所領を失いますが、子孫は徳川氏に旗本として仕えました。

系図

酒井定隆
　　┣━━━┓
　 定治　　隆敏
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　 玄治　　敏治
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　 胤治　　敏房（胤敏）
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　 康治　　政辰
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　 重治　　政成


太線は実子、細線は養子を示します。

関連項目

酒井 (曖昧さ回避)

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