上道斐太都

上道 斐太都（かみつみち の ひたつ）について

上道斐太都は、奈良時代に活躍した貴族で、最終的には従四位下の地位にまで昇進しました。彼はその名を正道とも呼ばれ、出自は吉備氏の一族に属する上道氏であり、備前国上道郡を拠点にした豪族として知られています。

出自

上道氏は上道臣と呼ばれ、備前国の重要な豪族でした。この一族は、古代日本における貴族社会の中で大きな役割を果たしました。彼らは地域の支配者として、高い地位を有していたことが伝えられています。

経歴

斐太都の歴史において特筆すべきは、孝謙天皇の治世における彼の行動です。天平宝字元年（757年）には中衛舎人として仕官しており、その際に橘奈良麻呂らによる皇太子・大炊王（後の淳仁天皇）や紫微内相の藤原仲麻呂を狙った謀反計画への参加を持ちかけられました。しかし、斐太都はこの計画を仲麻呂に密告し、結果的に謀反は未然に防がれました。この活躍により彼は従八位上から一気に昇進し、従四位下・中衛少将に任じられ、さらに姓も臣から朝臣に改められることになります。さらに、同年末には功田20町も賜与され、地位の安定に寄与しました。

その後、右兵衛督、中宮大夫、宮内大輔など、数々の京官を歴任し、地方官としても播磨守、備前守、備中守、備後守に任じられました。特に、天平宝字6年（762年）には淳仁天皇の側近として中宮院に仕え、特別な信任を受けることができました。この時期、同じ吉備地方出身の下道真備が重用されていた背景もあり、斐太都はそれに対抗すべく仲麻呂に接近して昇進を図る動きを見せていました。

天平宝字8年（764年）の正月には備後守に任ぜられて同国に赴任していましたが、その後の藤原仲麻呂の乱においての動静は不明です。翌年には和気王の謀反に連座し、粟田道麻呂が左遷された際、斐太都も飛騨守に任命されました。その際、以前から不和であった道麻呂に対しては厳しい対処を行い、夫婦を幽閉した結果、彼らはそこで亡くなりました。その後、斐太都は飛騨守を解任されることになりますが、その詳細は不明です。

神護景雲元年（767年）に斐太都は亡くなりました。彼が残した官歴の中には備前国造としての任務が含まれています。

官歴

斐太都の官歴は以下の通りです。

• - 時期不詳：従八位上、中衛舎人
• - 天平宝字元年（757年）7月5日：従四位下（越階）、臣から朝臣に改姓
• - 7月9日：中衛少将
• - 閏8月8日：吉備国造
• - 時期不詳：宮内大輔、右勇士督、播磨守
• - 天平宝字3年（759年）11月5日：備前守
• - 天平宝字5年（761年）頃：見美濃守
• - 天平宝字7年（763年）正月9日：中宮大夫、備中守
• - 天平宝字8年（764年）正月21日：備後守
• - 天平神護元年（765年）8月1日：飛騨守
• - 時期不詳：備前国造
• - 神護景雲元年（767年）9月23日：卒去（備前国造従四位下）

斐太都の功績と経歴は、奈良時代における貴族社会の複雑な人間関係と政治情勢を反映しています。彼は名を正道として特に知られ、その活動は後の時代にも一定の影響を与えていると見られます。

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