上野 (さいたま市)

さいたま市岩槻区上野：歴史と発展が織りなす街

さいたま市岩槻区の上野は、現在、上野一丁目から六丁目、および大字上野として存在しています。住居表示はまだ実施されていません。郵便番号は339-0073です。

地理

上野はさいたま市岩槻区の北部に位置し、町丁部分と大字部分から構成されています。1977年（昭和52年）頃からの大規模な区画整理事業により、慈上野・古ヶ場工業団地が開発され、藤倉ゴム岩槻工場などの工場が立地しています。この工業団地の開発は、かつての田畑を大きく変容させました。元荒川が南辻との境界線を画しており、日光御成街道沿いには大字の飛び地も存在します。また、縄文時代の遺跡である「上野貝塚」も発見されており、歴史の深さを感じさせる地域です。

歴史

上野の歴史は古く、江戸時代には武蔵国埼玉郡岩槻領に属する上野村として存在していました。さらに遡ると、箕輪郷騎西荘に属していたという記録もあります。『武蔵田園簿』、『元禄郷帳』、『天保郷帳』といった古文書には、上野村の村高や戸数が記録されており、当時の様子を垣間見ることができます。化政期には戸数45軒、東西4町、南北10町ほどの規模であったと推測されます。

当初は岩槻藩領でしたが、1756年（宝暦6年）からは幕府領となりました。1629年（寛永6年）には荒川の流路変更により、旧流路が元荒川として残りました。明治時代に入ると、府県統合や郡区町村編制法により、埼玉県の南埼玉郡に属することになります。1889年（明治22年）の町村制施行により、周辺の10箇村が合併して慈恩寺村が成立し、上野は大字上野となりました。

大正時代には元荒川の蛇行を解消するための捷水路が開削され、地域の一部が分断されることになります。その後、昭和29年には岩槻町、さらに岩槻市と合併し、1976年（昭和51年）には上野・古ヶ場土地区画整理事業の都市計画が決定されました。1987年（昭和62年）にはこの事業が完了し、大字上野の一部から上野一丁目〜六丁目が成立しました。そして2005年（平成17年）には岩槻市がさいたま市に合併、現在のさいたま市岩槻区上野となりました。

交通・施設

上野地区には鉄道は通っていませんが、最寄りの駅として東武野田線（東武アーバンパークライン）の東岩槻駅があります。道路網としては、埼玉県道65号（日光御成街道）、上野長宮線、東大宮岩槻線が通っています。

地域内には、慈上野・古ヶ場工業団地をはじめ、さいたま市消防局岩槻消防署上野出張所、岩槻上野郵便局などの公共施設があります。また、鷲宮神社、宝生院といった歴史的な寺院や神社、上野自治会集会所、上野東公園、鷲宮児童公園、松山児童公園、岩槻上野南児童公園などの公園も整備され、生活に便利な環境が整っています。

資料

この記述は、主に『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』、『新編武蔵風土記稿』巻ノ202埼玉郡ノ4、およびさいたま市の公式ウェブサイトなどを参考に作成されました。

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