上野ダム

上野ダムの概要

上野ダム（うえのダム）は、群馬県多野郡上野村にあり、一級河川・利根川水系神流川の最上流部に設けられた水力発電専用の重力式コンクリートダムです。ダムの高さは120メートルに達しており、建設を管理するのは東京電力リニューアブルパワーです。このダムは、全面稼動時には日本で最大の発電能力を誇る神流川発電所の下部調整池として機能し、南相木ダムと連携して揚水発電を行うことで最大282万キロワットの電力を生み出します。人造湖として形成された奥神流湖（おくかんなこ）がその役割を担います。

地理的な特徴

上野ダムは、神流川の最上流部に位置し、周囲の高度差を利用した発電が行われています。神流川は群馬県内における主要な支流で、三国山を水源とし、上野村の情景を眺めながら北から東へ流れ、藤岡市へと向かいます。ダムは日本航空123便墜落事故の地点である御巣鷹の尾根の直下に建設されており、上野村の名前がそのままダムに与えられました。

上野ダムと南相木ダムは有効落差653メートルの高低差を活用し、神流川発電所の揚水式発電を実施しています。これにより、ダムは日本最大の発電能力を有することになります。

建設の歴史

神流川は、他の河川同様に開発が進められ、東京電力はすでに矢木沢・玉原・今市発電所などを開発していました。新たな電源開発として神流川に目を向け、利根川水系と信濃川水系の二水系を利用した大規模な揚水発電所の計画が立てられました。この背景には、南相木川に南相木ダム、神流川に上野ダムの建設が含まれ、上野ダムは下久保ダムに匹敵する規模を持つダムとして位置づけられました。

1995年に工事が始まり、数年後には完成へと至ります。上野ダムは、特に先進的な工法を採用しており、セメントの使用を抑えつつも耐久性を確保した設計が評価されました。

環境への配慮

上野ダムはその立地から周囲の自然環境に重要な影響を与える可能性があり、東京電力は環境保全への配慮を重視しました。2002年にはISO 14001の認証を取得し、建設地の貴重な植物を移植するなど、周囲の生態系の保護に努めました。また、河川の涼やかさを保つため、適切な流量の維持にも注力しています。

これにより、上野ダムは電力生成の利点だけでなく、周囲の自然環境を守る役割も果たしています。

公共交通機関とアクセス

上野ダムは観光地としても知られており、南相木ダムと共にダム本体の見学を促進しています。ダムには両岸に広場が整備されており、訪れる人々が安心して見学を楽しめるよう配慮されています。また、周辺には湯の沢トンネルから10分ほど歩くと大規模な堤体が現れ、その雄大さに感動することができます。

最寄りの公共交通機関を利用する際、新町駅または群馬藤岡駅から路線バスが利用可能で、「しおじの湯」からは徒歩でアクセスできます。車でアクセスする場合、東京方面からは上信越自動車道を経由して行くルートが一般的です。

ダムの訪問記念として、ダムカードを配布している場所もあり、ダムを訪れた証明にもなります。このように、上野ダムは自然環境と電力生産の両立を実現しているダムなのです。

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