下御井神社

下御井神社について

下御井神社（しものみいのじんじゃ）は、三重県伊勢市の伊勢神宮外宮に位置する神社であり、豊受大神宮（外宮）の所管社の一つです。この神社は外宮の宮域内、別宮である多賀宮の石段の右側にあり、特に土宮の近くに建っています。下御井神社は「少宮」としても知られています。

構造と特徴

この神社は、外宮の所管社の中で4番目に重要な位置にあります。一般的に、伊勢神宮の所管社では賽銭箱が設置されていませんが、下御井神社には賽銭箱が設けられています。この神社の構造は上御井神社と非常に似ており、内部には社殿ではなく、「覆屋」と呼ばれる建物が存在します。上御井神社の覆屋は中に神職が入れるほどの大きさがありますが、下御井神社の覆屋は小型で、中に入ることはできません。また、上御井神社の板垣は2重になっていますが、下御井神社は1重の板垣を持ち、覆屋が小さめであるため、全体的に低くなっています。類似した構造は、宝塚古墳や行者塚古墳から出土した囲型埴輪でも見られます。

祭神

この神社の祭神は下御井鎮守神（しものみいのまもりのかみ）です。彼は外宮の御料水の守護神であり、水神の役割も担っています。下御井神社は多賀宮の崖下に位置するため、参拝者は少なく訪れる人は限られています。実際、櫻井勝之進氏は、宿衛長であった頃、下御井神社で静かな時間を楽しんだと記録しています。

歴史

下御井神社の創建時期は不明ですが、『止由気宮儀式帳』には「御井」という言葉が登場しており、上御井を指していると考えられています。この文書には「御井二所」についても言及されており、上御井と下御井の存在が確認されます。

また、別宮の中でも特に多賀宮は格式が高く、近世まで月に6回御饌を調製する忌火屋殿があったことでも知られています。しかし、明治時代に外宮の御饌殿へと供えられるようになり、次第に忌火屋殿は廃止され、そのまま残った井戸が下御井神社に引き継がれました。下御井は上御井神社の予備としての役割も果たしていますが、上御井が涸れた記録はありません。ただし、『太神宮諸雑事記』には1050年に上御井の水が枯れ、土宮前の水、つまり下御井の水を汲んだという記載があります。

明治5年には、教部省によって一律に神社が神宮所管から外され、下御井神社もその例外ではありませんでしたが、翌年には外宮所管社として復帰しました。そして1913年には覆屋が新たに造り替えられ、現在の姿に至っています。

交通アクセス

下御井神社は土宮から少し坂を登った小高い位置にあります。公共交通機関を利用する場合、JR参宮線や近鉄山田線の伊勢市駅南口から徒歩で約5分です。また、三重交通の「伊勢市駅前」バス停や「外宮前」バス停からも徒歩でアクセス可能です。自家用車でのアクセスは、伊勢自動車道の伊勢西ICから約5分の距離にあり、周辺には448台収容可能な駐車場があります。

下御井神社は静寂に包まれた場所であり、訪れる人々はその神秘的な雰囲気に触れながら、深い歴史と信仰の意味を感じ取ることができるでしょう。

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