櫻井勝之進

櫻井勝之進（さくらい かつのしん）は、明治42年（1909年）10月28日に島根県那賀郡今福村（現在の浜田市）で生まれ、平成17年（2005年）12月25日に96歳で生涯を終えた神職です。

皇學館大学の前身である神宮皇學館を昭和6年（1931年）に卒業後、熊本県菊池市の菊池神社をはじめとする官国幣社4社で神職を歴任しました。昭和30年（1955年）には神宮教化局教導司に、昭和32年（1957年）からは神宮禰宜として伊勢神宮に奉職し、祭祀に携わる傍ら、皇學館大学で祭祀概説の非常勤講師も務めました。

昭和50年（1975年）には、芦屋大学で日本文化研究の教授に就任し、平成7年（1995年）まで教鞭を執りました。その後、多賀大社宮司、神社本庁総長を歴任し、皇學館大学理事長に就任するなど、神道界において重要な役割を果たしました。平成2年（1990年）には、神社本庁から「長老」の称号を受け、平成7年（1995年）には勲三等瑞宝章を授与されています。

研究者としては、平成2年（1990年）に「伊勢神宮の祖型と展開」というテーマで芦屋大学から学術博士の学位を取得しました。この研究は、伊勢神宮の歴史や構造、祭祀について深く掘り下げたもので、櫻井勝之進の代表的な業績の一つとして知られています。

晩年は三重県伊勢市で過ごし、平成17年（2005年）に心不全のため96歳で逝去しました。皇學館大学特別教授の櫻井治男は義理の息子にあたります。

著書も多数あり、『伊勢神宮』、『伊勢の大神の宮』、『カミ・くに・人』など、伊勢神宮や神道に関する著書を多数発表し、一般の人々にも神道への理解を深める上で大きく貢献しました。これらの著書は、神道の研究者にとっても貴重な資料となっています。

主な著書

『伊勢神宮』（1969年、学生社、新版1998年、再訂版2019年）
『伊勢の大神の宮』（1974年、堀書店）
『カミ・くに・人』（1983年、多賀大社）
『伊勢神宮の祖型と展開』（1991年、国書刊行会）
『続 カミ・くに・人』（1995年、多賀大社）
『聖恩は雨の如くに』（1996年、神社新報ブックス・神社新報社）
『神道研究ノート』（1998年、国書刊行会）
『次代に伝える神道』（1998年、神道ブックレット・弘文堂）
『伊勢の式年遷宮　その由来と理由』（2003年、皇學館大學出版部）
『神道を学びなおす』（2005年、神社新報ブックス・神社新報社）
『新編 カミ・くに・人』（2015年、神社新報社）

編著・共著

『熊本県祭礼調』（1955年、熊本県神社庁）
『現代諸祭祝詞大宝典』（1988年、国書刊行会）
西川順土・薗田稔共著『日本神道論』（1990年、学生社）
* 『平成版諸祭祝詞例文集成』（加藤隆久共編、1999年、国書刊行会）

櫻井勝之進は、神職として伊勢神宮に長年奉仕し、神道研究者として多くの著書を執筆し、後進の育成にも尽力しました。その功績は、現代の神道界においても高く評価されています。

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