下窪陽介

下窪 陽介

1979年1月21日、鹿児島県揖宿郡頴娃町（現在の南九州市）に生まれた下窪陽介は、日本の元プロ野球選手です。現役時代は主に外野手として活躍しました。

来歴

プロ入り前、鹿児島実業高等学校に進学した下窪は、投手としてチームを牽引しました。1996年の第68回選抜高等学校野球大会ではエースとしてマウンドに立ち、決勝で智弁和歌山高校を破り、鹿児島県勢として春夏通じて初の全国制覇という歴史的な快挙を成し遂げました。当時の投球は、高校生レベルの打者では長打を打つことが難しいほどの威力があると評されました。同年夏の第78回全国高等学校野球選手権大会にも出場しましたが、準々決勝で松山商業高校に敗れ、ベスト8にとどまりました。

高校卒業後、日本大学に進学。しかし、在学中に肩の故障に見舞われ、2年生の秋に当時の監督の勧めで外野手へと転向しました。東都大学野球リーグ1部では通算51試合に出場し、打率.179、2本塁打、8打点という成績を残しています。同期には尾形佳紀、1学年上には吉野誠らがいました。

2001年には社会人野球の強豪、日本通運に入社。同期には後にプロ入りする武田久や小川将俊がいました。日本通運では外野手として頭角を現し、プロ入りまでの6年間、連続で都市対抗野球大会に出場するなどチームの主力として活躍。特に2006年の第77回大会では打率.412を記録して首位打者に輝き、その年の社会人ベストナイン（外野手部門）にも選出されるなど、社会人野球界を代表する選手となりました。また、第16回IBAFインターコンチネンタルカップでは日本代表にも選ばれています。これらの実績が評価され、同年の大学生・社会人ドラフト会議で横浜ベイスターズから5巡目で指名を受け、即戦力として背番号9を背負いプロの世界へ飛び込みました。

プロ入り後

横浜ベイスターズに入団した2007年、下窪はキャンプ、オープン戦で結果を出し、開幕一軍メンバー入りを果たします。開幕第2戦で代打としてプロ初出場を飾り、翌日の試合では初スタメンも経験しました。しかし、その後約1ヶ月は思うような結果を残せず、一度二軍での調整を余儀なくされます。二軍では打率.397と好調を維持し、再び一軍へ昇格。再昇格後、対ソフトバンクホークス戦でプロ初打点となる決勝適時打を放つなど、チームの勝利に貢献する活躍を見せました。特に左投手に対しては得意としており、この年対左投手には打率.321と高い数字を残しました。

しかし、2008年は大西宏明選手の加入による外野手のポジション争いの激化や自身の不調が重なり、前年と比べて出場機会が減少。成績も低迷します。続く2009年には内藤雄太選手や下園辰哉選手といった若手選手の台頭もあり、一軍での出場はわずか7試合に留まり、安打を放つこともできませんでした。この頃、2年間の交際を経て、2009年5月7日に結婚していたことが2010年2月に公表されています。

2010年も一軍出場は3試合に留まり、同年10月1日、球団から戦力外通告を受けました。現役続行を目指し、同年11月10日に行われた12球団合同トライアウトに参加しましたが、獲得に名乗りを上げる球団は現れず、この年限りで現役を引退しました。

引退後

現役引退後は、かつてのチームメイトである野口寿浩氏が主宰する野球教室でコーチを務めるなど、引き続き野球に携わりました。その後、故郷である鹿児島県へ戻り、父親が代表を務める製茶会社「下窪勲製茶」に入社。製茶業という新たな世界に身を置きました。現在は知覧茶の栽培作業にも携わる傍ら、PR・販売担当として全国各地を巡回し、知覧茶の普及に努めています。元プロ野球選手としての自分と、接客業という未経験の分野での仕事の間に葛藤を感じる日々もありましたが、渡辺和子氏のエッセイ『置かれた場所で咲きなさい』を読んだことをきっかけに、自身の価値観や考え方が大きく変わり、現在の仕事に真剣に向き合うようになったといいます。

選手としての特徴

現役時代は、俊足強肩を兼ね備えた外野手として知られました。打撃面ではパンチ力があり、特に左投手を苦手としない勝負強さを持っていました。プロ入り後に最も衝撃を受けた投手として、当時のチームメイトであったチェン・ウェイン投手の名を挙げています。

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