下総御料牧場の基礎輸入牝馬

下総御料牧場と基礎輸入牝馬

1926年から1932年の間に、日本の宮内省下総御料牧場が輸入したサラブレッド牝馬たちは、特に1931年と1932年に輸入された6頭の繁殖牝馬が重要視されています。これらの馬たちを総じて「下総御料牧場の基礎輸入牝馬」と呼び、その血統が後の日本競馬に与えた影響は計り知れません。

歴史的背景

1906年、日本は欧米列強と比較して軍馬の質を向上させるために馬政局を設置し、これをきっかけに本格的な馬産が始まりました。しかし競馬の振興も進められたものの、風紀の乱れから競馬排斥論が生じ、サラブレッドは軍馬として不適と見なされ、生産はごく限られたものとなりました。

その後、1923年に新競馬法が制定され、再び官営牧場から優良な馬を生産しようという声が高まりました。1926年には下総御料牧場がイギリスから2頭の繁殖牝馬を輸入し、これらは後に「種正」と「種道」と命名されました。次の年には名馬トウルヌソルも輸入され、これにより生まれたトクマサは東京優駿（日本ダービー）で勝利を収めました。

アメリカ血脈の導入

1931年と1932年にはアメリカから6頭の牝馬が輸入されました。当時の日本競馬はイギリスからの馬が多かったため、アメリカ血脈の導入は大きな意義がありました。これらの牝馬は日本名で「星旗」「星若」「星濱」「星谷」「星富」「星友」と名付けられ、すべて産駒を受胎していました。その父となるのは、サーギャラハッドやマンノウォーなどのアメリカの一流種牡馬でした。

ネームが名付けられたこれらの馬たちから生まれた競走馬たちは、その後も大きな成功を収めています。特に、クレオパトラトマス、エレギヤラトマス、ピアスアロートマスなどは、合計で59勝を挙げ、そのうち帝室御賞典も獲得しました。星友の仔である月友もまた、名種牡馬として日本の馬産に貢献しました。

競馬界への影響

星旗は東京優駿優勝馬を輩出したクモハタに繋がり、また星友からは初の東京優駿優勝牝馬ヒサトモが登場しました。星浜は第1回中山4歳牝馬特別（桜花賞）で優勝したソールレデイを送り出し、星谷は帝室御賞典を制したトキノチカラも輩出しました。これらの牝馬は、日本の競馬界において重要な役割を果たし、今日でもその血統は重視されています。

基礎牝馬の系統

これらの8頭の牝馬は、後の日本競馬に多大な影響を及ぼし、各馬の系統は今なお在来の日本産馬の重要な基礎群として認識されています。特に、初年度の産駒の中で記録的な成績を残した馬も多く、こうした血統の影響力は長年にわたり続きました。

これらの歴史を振り返ると、下総御料牧場から輸入されたサラブレッド牝馬たちがいかに日本の馬産と競馬界に深い足跡を残したのかが理解できるでしょう。

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