世持神社

世持神社

世持神社は、沖縄県那覇市奥武山公園内に鎮座する神社です。神社本庁に包括されていますが、神体は社殿とは別に波上宮境内に安置されているという特徴があります。

祭神

琉球王国に繁栄をもたらした恩人として、以下の三柱が祀られています。

蔡温（さいおん）
野国総管（のぐにそうかん）
儀間真常（ぎましんじょう）

沿革

世持神社は、かつて国場川の中州であった奥武山の森に、1937年（昭和12年）に創建されました。「世持」という社号は、「豊かな御世、平和な御世を支え持つ」という意味を持つ沖縄古語に由来します。1939年（昭和14年）には、沖縄県内で唯一の郷社となり、世直しと殖産振興の神社として、砂糖業界、農林業界、教育界から崇敬を受けました。

しかし、沖縄戦によって社殿は境内の森と共に完全に破壊されてしまいました。戦火を免れた神体は、戦後、沖縄総鎮守である波上宮に預けられることになります。那覇市は奥武山公園内への社殿再建を決定しますが、結果として、社殿は奥武山、神体は波上宮に分かれる形となりました。現在、波上宮境内には浮島神社の仮社殿と並んで、世持神社の仮社殿が設けられています。

建立までの経緯

琉球甘藷栽培の功労者である野国総管らを祀る世持神社の建立には、紆余曲折がありました。野国の偉業は高く評価され、その子孫は琉球士族に列せられました。後の琉球近世には、野国の顕彰碑も建てられています。

野国の子孫たちは、儀間真常麻氏門中を巻き込み、沖縄の農業団体の多くを動員して、沖縄県や内務省に何度も陳情を重ねました。その結果、ようやく郷社としての建立に至ったと言われています。当初、野国や儀間だけを祭神とすることに対しては、位階が低いという理由で却下されたこともありました。そのため、蔡氏儀間殿内分家の子孫で琉球三司官を務めた蔡温を祭神に加えることになりました。さらに、大正天皇崩御による蔡温への位階追贈（正五位）が決定されたことが、建立の決め手になったとされています。

沖縄戦と、その後の米軍進駐による施設整備の中で、かつて世持神社の社殿があった奥武山の森は完全に消滅してしまいました。

例大祭

例大祭は毎年11月23日に行われ、奥武山公園内の社殿で波上宮の神職によって執り行われます。

脚注

沖縄県神社庁ウェブサイト

関連項目

* 沖縄県の神社一覧

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