中予分水

中予分水（ちゅうよぶんすい）

中予分水は、愛媛県内の水資源が不足している中予地方に向けて、余裕のある地域から水を供給するための事業計画です。この地域は特に松山市を中心とした道後平野に位置し、長年にわたり水の確保が重要な課題となってきました。以下では、この分水事業の概略や現状について詳しく見ていきます。

概要

愛媛県の中予地方では、雨が少なく、水資源の確保が喫緊の課題です。具体的には、道後平野一帯が対象であり、雨が少ないことから水の管理が困難になっています。1994年の猛暑では、重信川の支流である石手川に位置する石手川ダムが枯渇し、松山市の上水が約半分失われる事態が発生しました。この苦境は、水利権の分配問題を浮き彫りにし、市民間でも井戸を掘るなどの対策が見られましたが、一部地域では深刻な断水が発生しなかったものの、全体的な水不足は改善されていないのが現実です。

分水計画の内容

南予からの分水

南予地方から水を供給する計画があったものの、高コストのため実現が難しい状況にあります。山鳥坂ダムの建設に伴う構想は、松山市が導水を断念することに至り、実質的に南予からの水の供給は消えました。

高知県からの分水

また、高知県との連携による水供給の計画もありましたが、当時の松山市はコストの問題から断りました。しかし、1994年の渇水時には、高知県との協力により特例として分水が実現しました。この時、愛媛県と高知県の関係が必ずしも良好ではない中で、緊急対応として水が供給されたことは特筆すべき点です。

西条からの分水

さらに、愛媛県西条市の黒瀬ダムからの分水構想も進行中です。この構想は、道後平野の水不足に加え、工業用水に余裕ができたことから現実的な選択肢として浮上しています。松山市は2006年にこの分水を要望し、さらなる水問題解決に向けた交渉が行われています。しかし、西条市内では水不足の影響を受ける地域もあり、反対意見も根強い現状です。特に、地下水に影響を与える懸念がされており、一部の自治体ではその姿勢が変わっていません。

節水政策とその限界

1994年の渇水を受け、中予地域の自治体は節水政策を実施しています。具体的には、節水機器の導入に対し補助金を出すなどの取り組みです。しかし、抜本的な対策には導水が不可欠な状況です。住民の節水行動が逆に水道事業の収入に影響を及ぼすというジレンマも存在します。特に夏から秋にかけての少雨期間には、ダムの貯水状況が厳しくなり、市民の関心も高まります。

まとめ

中予分水は、愛媛県における水不足問題の解決に向けた重要な試みです。南予や高知県、西条市との分水を実現するための企画が続いており、自治体間の協力が必要不可欠です。水資源の確保は今後も重要なテーマであり、持続的な取り組みが求められています。

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