中原致時

中原致時：平安時代中期の貴族、学者、歌人

中原致時(なかはら の むねとき)は、平安時代中期に活躍した貴族です。生年は不明ですが、寛弘8年7月8日(1011年8月9日)に亡くなりました。刑部大輔・中原有象の子として生まれ、従四位上・伊勢守にまで上り詰めた人物です。その生涯は、学問、官職、そして歌人としての才能と、多岐にわたる才能で彩られています。

華麗なるキャリア：明経博士から伊勢守へ

致時のキャリアは、村上朝応和3年(963年)の明経得業生への任命から始まります。その後、明経試に合格し、兵部少録、造酒権佑などを経て、円融朝天元3年(980年)には権少外記に任ぜられました。外記局では順調に昇進し、少外記、大外記と地位を高めていきます。永観2年(984年)には従五位下と肥前守に叙任され、地方官としての経験も積みました。

一条朝に入ると、永延元年(987年)には明経博士に任ぜられ、学識の高さを示しました。永祚元年(989年)には従五位上となり、再び大外記に任ぜられました。この時、中原氏として初めて大夫外記となり、この役職はその後、中原氏の世襲ポストとなりました。大外記を務めながら、明経博士、主税権助などを兼任し、丹波介、播磨介なども務めるなど、多忙な日々を送りました。正暦4年(993年)には正五位下に昇叙されています。

長徳4年(998年)には信濃守に任ぜられ、外記局を離れますが、長保3年(1001年)には造宮の功績により従四位下に昇進。そして、寛弘元年(1004年)には、ついに従四位上・伊勢守にまで昇り詰めました。

学問と歌の才能

致時は、優れた学識を持ち、明経博士として活躍しました。また、歌人としても才能を発揮し、『後拾遺和歌集』に1首の和歌が採録されています。これは、彼の教養の深さと感性の豊かさを示す証拠と言えるでしょう。

後世への影響

致時は、単なる官僚としてだけでなく、学問と歌の分野でも才能を発揮した人物でした。彼のキャリアは、後世の中原氏に大きな影響を与え、大夫外記の世襲につながりました。彼の功績は、平安時代の中期における官僚制や文化の発展に貢献したと言えるでしょう。

系譜と参考文献

致時の父は中原有象、母は不明です。子息には、中原貞清、中原師任、中原俊光、中原致仲、中原致行らがいます。

彼の生涯を知る上で重要な参考文献として、『地下家伝』、『外記補任』、『古代氏族系譜集成』、『勅撰作者部類』などが挙げられます。これらの文献から、致時の詳細な経歴や、彼を取り巻く時代背景などを知ることができます。 これらの文献は、平安時代の人物像や社会構造を理解する上で貴重な資料となっています。致時の生涯は、平安時代の中期における貴族社会の動向を知る上で重要な手がかりとなります。

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