中原有象

中原有象の生涯と業績

中原有象（なかはら の ありかた）は、平安時代中期に活躍した儒学者であり、貴族でもあります。彼は美濃介や十市春宗の子として生まれ、官位としては従四位下・治部卿に任じられました。中原有象は中原氏の氏祖として位置付けられており、学問のみならず、朝廷の実務にも大きく寄与した人物です。

出自と背景

有象は延喜2年（902年）に生まれました。彼の出身は十市氏であり、十市春宗を父に持つことから、十市部（とおちべ）を支配する氏族に属していました。十市氏は奈良盆地南部の部民を管掌する氏族とされ、有象は自署において「十市有象」と名乗ることがありましたが、同時代の資料では「十市部有象」と記録されることもあったようです。

十市氏の系譜は、安寧天皇の第三皇子に続くとされる一方、その正統性には疑問も呈されています。後世の中原氏による自らの系譜の強化を狙った内容とも考えられていますが、詳細は不明です。

有象の所属した十市氏からは、以前にも明経学者が輩出されており、延長8年（930年）には十市部良佐が天文密奏を行った記録も残っています。これらの事例からも、十市氏が学問に強い家系であったことを伺わせます。

経歴の詳細

有象は承平元年（931年）には明経学生として活動を開始し、准得業生の地位を得ます。その後、兵部少録や直講を経て、天慶5年（942年）には権少外記に任ぜられました。技量を発揮しつつ昇進を遂げ、天慶9年（946年）には大外記に至ります。この間、彼は政治的にも重要な役割を果たし、天慶6年（943年）には藤原高子の皇太后復位に際して外記として書記と事務を担当しました。

天慶8年（945年）に姓を宿禰から改姓したのもこの時期です。946年には、村上天皇の即位を契機に従五位下に叙爵されました。その後、遠江介を経て出雲守を務めました。

天徳2年（958年）、有象は明経博士に任命され、儒学者としての地位を確立します。また、応和4年（964年）には村上天皇の中宮の葬儀に関与し、慣例に関する諮問を受けるなど、実務面でも重要な役割を果たしました。この頃には、様々な宴席にも出席し、社会的地位の高い人物として知られていたようです。

さらに、円融朝に入った後も有象は昇進を続け、天禄2年（971年）には十市宿禰から中原宿禰に改姓し、さらに天延2年（974年）には中原朝臣に改姓されました。

彼の死去時期は明確ではありませんが、貞元3年（978年）の記録によると、既に生存していたことが確認されています。それにより、彼は少なくともこの時点では社会的に認識されていたことが分かります。

官歴

• - 承平元年（931年）: 明経学生として活動開始
• - 天慶元年（938年）: 兵部少録に任ぜられる
• - 天慶5年（942年）: 権少外記
• - 天慶9年（946年）: 大外記、従五位下に叙爵
• - 天徳2年（958年）: 明経博士に任命
• - 康保4年（967年）: 従五位上行勘解由次官兼明経博士
• - 安和2年（969年）: 役職を持ち権守となる
• - 天禄2年（971年）: 中原宿禰に改姓

家族と系譜

有象の家族に関しての記録は乏しいものの、父は十市春宗であり、数人の息子を残しました。彼の家系は学問の伝統を重んじたと言われており、今尚その影響を感じることができます。

このように、中原有象は平安時代中期の学問や政治において重要な立場を占め、多くの業績を残した人物であると評価されています。

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