中国国際航空129便墜落事故

中国国際航空129便墜落事故の概要

2002年4月15日、中国国際航空129便は、北京首都国際空港から韓国の金海国際空港へ向かう途中、着陸進入中に空港北西の丘陵地帯に墜落しました。この事故により、乗員乗客166名のうち129名が亡くなるという大惨事となりました。生存者は37名にとどまりましたが、機体が山にこするように墜落したことが、後部座席の乗客の生存率を高めたと推測されています。

事故当時の状況は非常に悪く、現場付近は厚い雲と濃い霧に覆われていました。視界不良のため、管制官は事故機に対し、通常とは異なる北側からの進入を指示しました。この北側からの進入は、旋回と滑走路への進入を目視に頼るものであり、事故発生時の視界は約3キロメートルしかありませんでした。この悪条件が、事故の要因の一つとして指摘されています。

乗客の内訳は、韓国人が135名、中国人が19名、ウズベキスタン人が1名で、乗員は全員が中国人でした。韓国人乗客の多くは、中国旅行からの帰国者でした。

事故原因

韓国政府の航空事故調査委員会は、2005年5月に最終報告書を発表し、事故原因を以下の通り特定しました。

悪天候による視界不良の中、滑走路や障害物を視認できないまま着陸態勢に入ったこと。
副操縦士が機長に迅速な旋回を求めるとともに、高度の低下を何度も注意していたこと。
機長の旋回着陸や飛行経験の不足（機長は2001年11月に機長に昇格したばかりで、釜山への飛行は5回目であった）。

これらの要因が複合的に重なり、パイロットミスが主な事故原因であると結論付けられました。

事故後の影響と教訓

この事故は、当時の韓国社会に大きな衝撃を与えました。事故当時は中国ブームであり、多くの韓国人観光客が中国へ旅行していたため、この事故は多くの人々に深い悲しみをもたらしました。

事故後、中国国際航空の北京・釜山線は現在も運航されていますが、便名は事故機と同じ129便が使用されています。このことは、事故の教訓を忘れず、安全運航を継続していくという航空会社の強い意志を示していると言えるでしょう。

メディアでの取り扱い

この事故は、ドキュメンタリー番組「メーデー!:航空機事故の真実と真相」でも取り上げられました。第15シーズン第3話「Turning Point」で、事故の経緯や原因が詳しく解説されています。

類似のインシデント

2018年には、タイ国際航空660便が羽田空港への着陸進入時に、コースを一時的に外れて東京臨海風力発電所の付近で高度を著しく下げ、風力発電機に衝突しかけるというインシデントが発生しました。この事故も、129便と同様に、旋回着陸や飛行経験の不足によるパイロットミスに加え、夜間飛行に伴う視認性の低下、FMSやアプローチチャートのデータ不備などが複合的に重なったことが原因とされています。このインシデントは、航空業界において、パイロットの訓練や安全対策の重要性を再認識させる事例となりました。

関連情報

韓国航空事故調査委員会
（朝鮮語）CA129 Final Report - Original version
（英語）CA129 Final Report (Archive) - Translation
その他
（朝鮮語）Air China Flight 129 Passenger Manifest
（英語）"South Korean Airport Has Responsibility for Air China Crash"(Archive)
（簡体字中国語）"国航“4·15”空难调查分歧严重"
Flight 129 Accident Description record
Accident aircraft B-2552 photos on Airliners.net - ウェイバックマシン

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