中国聯合準備銀行

中国聯合準備銀行は、1938年3月1日に中華民国臨時政府（日本の傀儡政権）の発券銀行として北京に設立され、ポツダム宣言受諾により閉鎖された銀行です。

設立の背景

1937年7月の盧溝橋事件勃発後、日中間の軍事衝突が拡大するにつれて、中国大陸で使用する通貨が問題となりました。日本銀行券の使用は日本の通貨供給量の増大を招き、中華民国国民党系の発券銀行の通貨である法幣の使用は、日本円の流失を招き利敵行為になる危険がありました。当初は戦時国際法の適用を逃れる為「事変」としていたため、軍票の使用は考慮されず、朝鮮銀行券も使用されましたが、国民党政権が法幣の為替相場を操作したため、朝鮮銀行券の信用力が低下し9月に使用を断念、法幣に対抗するため前線において使用する通貨を河北省銀行券とする閣議決定を9月12日に行いましたが、戦端拡大のため銀行の支払い能力を超えたことから、11月に「甲号軍票」を発行しました。

しかし、甲号軍票のデザインは明治時代の明治通宝を流用したもので、偽造しやすく、粗製であったため、中国側では普及せず、発行額の多くが使用されませんでした。

その後、王克敏を首班とする中華民国臨時政府による発券銀行として設立されたのが、中国聯合準備銀行です。同様に、日本の傀儡政権による発券銀行としては、中華民国維新政府下の華興商業銀行、汪兆銘政権下の中央儲備銀行、蒙古聯合自治政府下の蒙疆銀行などがありました。これらの銀行は現在、中国では「日偽政権銀行券」と分類され、蒐集の対象となっています。アメリカ合衆国のクラウゼ出版による「標準世界紙幣カタログ」では、中国聯合準備銀行は"Japanese Puppet banks"（日本による傀儡銀行）と分類されています。

中華民国臨時政府は1940年に汪兆銘政権に合流して解散し、華北政務委員会に改組しましたが、両者の発券銀行は統合することなく1945年に瓦解するまで存続しました。

発行銀行券

紙幣のデザインは、初期には清朝時代の大清銀行兌換券のものが流用され、後には岳飛や孔子などの中国の偉人の肖像や万里の長城などの建築物が使用されました。中国聯合準備銀行の通貨供給量は増え続けましたが、裏付けのないものであり、猛烈なインフレーションを招き、額面の高額化が進行しました。

関連法規

中国聯合準備銀行条例
在外公館等借入金の返済の実施に関する法律

参考文献

日本紙幣収集辞典　原点社
華興商業銀行券の機能　德永淸行 著
神戸大学 電子図書館システム 一次情報表示

関連項目

満州中央銀行

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