中国農民銀行

中国農民銀行

中国農民銀行（ちゅうごくのうみんぎんこう）は、かつて中華民国の時代に中国本土および台湾に存在した金融機関です。

歴史

この銀行は、1933年に河南、湖南、安徽、江西の四省で営業していた農民銀行を統合することによって設立されました。その主要な目的は、農民への資金供給を通じて農村地域の振興を図ることにありました。しかし、設立の背景には、当時農村部で勢力を拡大していた中国共産党への対抗策としての側面も強くありました。先行して実施された四省での統合が成果を上げたことから、全国的な展開が目指されることになったのです。

その後、国民政府は1935年6月4日に「中国農民銀行条例」を制定し、同行の法的基盤を確立しました。さらに、1936年には、当時の法定通貨である法幣（ほうへい）を発行できる発券銀行としての機能も付与されました。

国共内戦を経て、中国本土における中国農民銀行の事業および店舗網は、中華人民共和国によって接収されました。1951年には、中華民国時代から営業を続けていた合作銀行と合併し、「農業合作銀行」へと改称しましたが、わずか一年後の1952年には中国人民銀行に吸収合併され、ここに中国本土における中国農民銀行の歴史は閉じられました。

なお、現在の中華人民共和国に存在する中国農業銀行は、1979年に設立された全く新しい銀行であり、かつての中国農民銀行とは直接的な関連性はありません。

台湾での中国農民銀行

中国本土での事業は中華人民共和国に接収されましたが、中華民国政府はこれらの接収を承認しませんでした。国民政府が台湾へ移転したことに伴い、中国農民銀行も1949年に台北市に事務所を設立しました。そして、1967年5月20日には、台北市中山区南京東路2段85号にて正式な営業を再開しました。この場所は現在、合作金庫銀行自強支店となっています。

台湾においては、農業関連融資を専門とする特殊銀行として活動を続けました。しかし、時代の変化に伴い、2005年11月21日に「中国農民銀行条例」が廃止され、一般銀行へと転換しました。そして、その翌年の2006年5月1日、合作金庫銀行に合併され、台湾における中国農民銀行の歴史も幕を閉じました。

補足

台湾には、これとは別に、農業関連融資を行い、農会（農業協同組合）や漁会（漁業協同組合）の信用事業の系統中央機関としての役割を担う全国農業金庫（Agricultural Bank of Taiwan）が2005年に設立されています。

関連項目

* 合作金庫銀行

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