中国銀行 (中華人民共和国)

中国 銀行（Bank of China）

中国銀行（Bank of China, 中国語: 中国银行）は、中華人民共和国の首都、北京市に本店を構える、国内有数の商業銀行です。総資産において世界でも上位に位置し、中国建設銀行、中国工商銀行、中国農業銀行と並んで、中国四大商業銀行と称されています。日本の金融庁の資料などでは「中國銀行」と表記されることもあります。

概要

中国銀行は、中国国内に約13,000の支店を展開しており、そのネットワークは広範です。さらに国際的な活動も活発で、世界25カ国に550を超える拠点を設けています。かつて国有銀行であった組織形態は、すでに株式会社へと移行しており、2006年6月には香港証券取引所に上場を果たしました。中国の主要な金融機関グループである「八行五保」の一つにも数えられています。

沿革

中国銀行の源流は、1905年に清朝政府によって北京に設立された大清戸部銀行に遡ります。この銀行は1908年に大清銀行と改称されました。中華民国が成立した後、臨時大総統であった孫文により「中國銀行」と改められ、1912年2月5日には中央銀行としての認可を受けました。しかし、1928年10月26日に公布された中國銀行条例により、政府の特別な許可を得た国際為替専門銀行としての役割が強まり、本店管理部門は北京から上海へと移されました。1935年、国民政府による幣制改革が行われると、中国銀行は交通銀行、中央銀行、中国農民銀行と共に、当時法定通貨であった法幣の発券銀行となりました。

1949年に中華人民共和国が成立すると、中国銀行は国有化され、本店管理部門は再び上海から北京へと移されました。この時期、中国人民銀行の管理下に置かれ、国内で唯一の外国為替専門銀行としての機能に特化します。1979年には、人民銀行の管理下から離れ、国務院の直属機関となりました。同年には、外国人向けの兌換元という特殊な紙幣の発行が開始され、中国銀行はその発券業務を担うことになります。

1994年、改革開放政策の進展に伴い、中国銀行は外国為替専門銀行から国有商業銀行へと業務範囲を拡大し、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行と共に四大商業銀行の一員となりました。同じ年、中国銀行の香港支店は香港ドルの発券業務を開始し、翌1995年にはマカオ支店がマカオ・パタカの発券業務を開始しました。ただし、兌換元については、1993年にその発行が停止されたため、関連業務も終了しました。

2001年には、中国銀行の香港支店を母体とする別法人「中国銀行（香港）」が設立され、香港証券取引所に上場しました。その後、中国銀行本体も2004年に国有銀行から株式会社組織（中国银行股份有限公司）へと改組されました。2008年に開催された北京オリンピックでは、ローカルスポンサー（公式パートナー）として協賛しています。

香港・台湾での業務運営

香港

1990年代には、中国銀行香港支店を中心に、香港現地の銀行群からなる中国銀行集団が形成されました。これらの組織は2001年に統合され、中国銀行本体から分離された独立法人「中国銀行（香港）」が誕生し、2002年に香港証券取引所に上場しています。

台湾

台湾には、中華人民共和国による中国銀行の接収を認めない中華民国政府側の「中國銀行」が存在しました。これは、1949年以前の孫文が設立した中国銀行と法的には同一とみなされ、国営の外国為替専門銀行という形態を引き継いだとされています。しかし、大陸時代の経営資源をほとんど継承しておらず、実質的には新設銀行に近い状態でした。この中華民国側の中國銀行は、1971年に民営化されて中国国際商業銀行（ICBC）と改称し、さらに2006年には交通銀行と合併し、現在の兆豐國際商業銀行（Mega International Commercial Bank）となりました。

一方、中華人民共和国側の中国銀行は、2012年6月27日に中華人民共和国の銀行として初めて台北に支店を開設しました。この台北支店は、台湾における人民元決済の幹事行としての役割を担っています。

日本の同名銀行との関係

中国銀行が1990年に日本に進出する際、岡山市に本店を置く日本の地方銀行「中国銀行」との間で名称の重複が問題となりました。特に、当時の日本の地方銀行のロゴが毛筆体で中国銀行のロゴと酷似しており、混同を招く恐れがあったためです。この問題を受け、日本の地方銀行側が商号および行名を「中国銀行」に正式に変更し、ロゴも一新しました。また、識別のため、東京都、大阪市、神戸市など、中国銀行が支店を開設したエリアにある日本の地方銀行の支店看板には「本店岡山市」という文字が追加されました。興味深いことに、日本の地方銀行が上海に進出した際には、名称の混同を避けるため「日本CHUGOKU銀行」という呼称を使用しています。

中国銀行は、その長い歴史と国際的な展開を通じて、現代中国および世界の金融システムにおいて極めて重要な位置を占める銀行です。

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