中央防波堤埋立地

中央防波堤埋立地とは

中央防波堤埋立地は、東京湾内に位置する人工島であり、中央防波堤を挟んで北側に位置する内側埋立地と、南側の外側埋立地に分かれています。東京都環境公社では、この場所を最終処分場として「中央防波堤埋立処分場」という名称も使用しています。さらに、外側埋立地の南に隣接する新海面処分場も、広義の意味でこの埋立地に含められることがあります。

本記事では、内側埋立地と外側埋立地に焦点を当てて解説します。新海面処分場については、別の記事で詳細を説明します。

概要

中央防波堤埋立地内には、新貨物ターミナル、倉庫、廃棄物焼却場、東京都環境局中防合同庁舎などが存在し、物流拠点としての機能を担っています。将来的には、貨物ターミナル、倉庫に加え、公園としても整備される計画があります。また、2007年には、国土交通省関東地方整備局によって、水深マイナス9メートルの岸壁を整備するための現地調査も開始されました。

海の森三丁目には、東京臨海風力発電所が設置されており、巨大な風車「東京風ぐるま」が、この地域のシンボルとなっています。さらに、生ごみが分解する過程で発生するメタンガスも発電に利用されていました。

歴史

埋立開始と処分場問題

1970年、中央防波堤内側に鋼矢板で囲まれた土砂処理場が設置され、翌年にかけて河川や運河から浚渫されたヘドロや下水処理場から出る汚泥の運び込みが開始されました。1973年には、東京都が中央防波堤内側埋立地の埋め立てに着手。1977年には、外側埋立地の埋め立ても開始されました。当時、ゴミの量は増加の一途を辿り、埋立処分場の確保が困難になることが予想されました。そのため、処分場の延命が東京都の重要な課題となり、清掃工場や粗大ごみ破砕処理施設などの中間処理施設の整備が急速に進められました。

埋立完了と拡張

1986年、中央防波堤内側埋立地の埋め立てが完了しました。その後、1998年頃には、外側埋立地も埋立可能な場所が少なくなってきたため、事実上の拡張として新海面処分場Aブロックの埋立が開始されました。2002年には、第二航路トンネルが一般開放され、この埋立地の帰属を主張していた3区（中央区、港区、品川区）が主張を取り下げました。

近年の動き

2007年には、水深-16mの岸壁を持つ国際海上コンテナターミナルを整備するための現地調査が開始され、10万t級のコンテナ船が入港できるようになりました。2012年には、東京港臨海道路が全線開通し、東京ゲートブリッジを通じて江東区若洲と陸路で接続されました。2013年には、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、この埋立地も競技会場として活用されることになりました。

帰属問題と裁判

2016年、大田区と江東区が正式協議を開始しましたが、2017年には東京都が両区に調停案を示すも、大田区が拒否し、提訴に至りました。2019年、東京地方裁判所が境界確定訴訟の判決を下し、両区が受け入れたことで、長年続いていた帰属問題に決着がつきました。

2020年には、江東区が内側埋立地に「海の森」、外側埋立地の一部（大田区の土地）に「令和島」の町名を設定しました。また、東京港臨港道路南北線が開通し、内側埋立地と外側埋立地の間に海の森大橋が新設されました。2021年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、海の森クロスカントリーコースと海の森水上競技場が競技会場として利用されました。

埋立面積

中央防波堤内側埋立地

総面積：106ヘクタール
埋立面積：78ヘクタール
埋立量：約1,230万トン

中央防波堤外側埋立地

外側埋立地は、西側が「その1」、東側が「その2」として区別されます。

中央防波堤外側埋立地処分場 その1（浚渫・建設発生土）：115ha
中央防波堤外側埋立地処分場 その2（廃棄物）：115ha

帰属問題の詳細

中央防波堤埋立地は、東京都が東京湾の沿岸5区の了承を得て埋め立てを行いましたが、公有水面埋立法に基づく申請では、埋立場所を「東京都江東区有明二丁目地先」として申請し、竣工許可は「東京都江東区青海二丁目地先」として届け出ました。しかし、5区の間では、以下の取り決めがなされていました。

両埋立地の事務は暫定的に江東区が処理する。
この措置は、帰属決定までの暫定的なもので、今後の帰属決定には影響を与えない。

その後、内側埋立地第2工区が竣工したことを機に、改めて両埋立地の帰属が協議されることになりました。2002年に中央区、港区、品川区が帰属主張を取り下げたため、江東区と大田区の間で協議が継続されました。この問題は長年膠着状態が続きましたが、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、海の森水上競技場や海の森クロスカントリーコースが整備されることになり、2014年に両区の協議が再開されました。

主張と調停

大田区は、海苔養殖のために漁業協同組合に割り当てられた漁業権の大半を、区内の組合が保持していたことを帰属権の根拠として主張しました。一方、江東区は、東京ゴミ戦争の解決のために区外からのゴミ処理に相当な負担をしてきたことを主張しました。

両区の協議は決裂し、2017年に東京都に対し調停を申請。自治紛争処理委員による調停の結果、江東区に86.2％、大田区に13.8％を帰属させる調停案が示されましたが、大田区が拒否し提訴に至りました。

裁判と決着

2019年の判決では、港湾関係用地を大田区に帰属させるのが妥当とされ、江東区79.3％、大田区20.7％の帰属割合とする判決が言い渡されました。具体的には、内側埋立地は全て江東区、外側埋立地西側は東京港臨港道路の中央線を境界とし、北側が江東区、南側が大田区、外側埋立地東側は全て江東区となりました。両区は、判決内容に不服な部分があるものの、受け入れを表明し、中央防波堤埋立地の帰属問題は決着しました。

その後

決着後、江東区側では内側埋立地に「海の森」の町名が新設され、大田区側では「令和島」の町名が新設されました。外側埋立地の一部については、埋立工事が未竣工のため、暫定的に「海の森三丁目地先」と住所表示されています。なお、外側埋立地に隣接する新海面処分場については、埋立中であり、帰属は未確定のままです。

脚注

(ここに脚注の内容を記述)

関連項目

新海面処分場
中央防波堤
清掃工場
東京ゴミ戦争
機動警察パトレイバー
海の森公園

外部リンク

廃棄物と資源循環｜東京都環境局 廃棄物と資源循環
都の廃棄物埋立処分場 メニュー | 東京都環境局 廃棄物と資源循環
東京港埠頭株式会社 中央防波堤外側地区・新海面処分場

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