中央電力 (1938-1942)

中央電力株式会社の歴史

中央電力株式会社（ちゅうおうでんりょく かぶしきがいしゃ）は、昭和戦前期の日本において、愛知県、静岡県、長野県の三県にまたがる三遠南信地方に電力を供給するために設立された電力会社です。設立は1938年8月、解散は1942年4月という短い期間でした。中央電力は、三河水力電気株式会社、南信電気株式会社、中央水力株式会社の三社が統合されて発足しましたが、電力国家管理政策により短命に終わりました。

中央電力の設立背景

1930年代半ばから、日本政府は電気事業に対する国家の統制を強化していきます。逓信省は、中小の電力事業者の整理と統合を進める方針を打ち出し、中央電力もその流れに沿って設立されました。特に三遠南信地方のように小規模な電力事業者が多く存在する地域では、統合が求められる中で三社が合併する形で新たな企業が設立されました。

前身会社の概要

三河水力電気株式会社

この会社は1924年に設立され、愛知県を流れる矢作川での発電を行っていました。設立当初は早川電力の傘下にあり、静岡県浜松市の電力供給をも担っていましたが、合併を経て南設楽郡新城町を中心とした供給エリアを持つことになりました。

南信電気株式会社

南信電気は1920年に設立され、主に長野県南部の電力供給を担当していました。住民からの出資を受けて設立されたため、地域密着型の事業展開が特徴です。

中央水力株式会社

この会社は1935年に設立され、天竜川水系での発電を計画していました。電力供給の重要性が増していた中での設立だったため、中央電力においても重要な役割を果たしました。

統合と運営

中央電力は、発足後すぐに複数の小規模事業者を統合し、事業範囲を広げました。特に1939年には豊川電気株式会社など多くの電力会社が統合され、急速に成長を遂げます。しかし、国による電力管理の深化に伴い、1942年には国策会社である日本発送電に事業を譲渡し、解散を余儀なくされました。

電力国家管理政策と解散

中央電力が発足した後、日中戦争下で電力管理政策が整備されます。政府は、発電・送電事業の国有化を進め、1941年には多くの電力会社の設備を日本発送電に接収しました。その結果、中央電力も参画することとなり、最終的には全事業が中部配電に統合されたことにより解散を迎えました。

結論

中央電力株式会社は、戦前の日本において地域電力供給の役割を果たしたものの、短期間で解散を余儀なくされた電力会社であり、その歴史は日本の電力産業における重要な一ページを形成しています。

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