中島町 (広島市)

中島町：広島平和記念公園を擁する街の歴史と変遷

広島市中区の中心部に位置する中島町は、広島平和記念公園の所在地として広く知られています。元安川と旧太田川の分岐点という地理的特性から、古くから水運による物資集積地として栄え、西国街道も通る要衝の地でした。しかし、その歴史は平和な繁栄だけでなく、原爆投下による壊滅的な被害と、その後の復興という、激動の時代を映し出しています。

概要と地理

中島町は、現在では平和記念公園が大部分を占めていますが、原爆投下以前は広島有数の繁華街でした。相生橋は、全国的にも珍しいT字型の橋として知られ、町の北端に架かっています。周辺地域には、加古町、大手町、本川町、猫屋町、堺町、土橋町、河原町などがあります（全て広島市中区）。

歴史

藩政期から明治期

毛利輝元による広島築城以来、中島地区は町人町として発展しました。太田川上流と広島湾を結ぶ水運の要衝であり、西国街道（現在の中島本通）も通っていたことから、物資の集散地として重要な役割を果たしました。明治時代に入っても、その繁栄は続き、1889年の市制施行に伴い、中島新町に市役所が置かれたことで、隣接する水主町（現在の加古町）とともに県政・市政の中心地としての地位を確立しました。明治後期には、多くの金融機関が進出し、大手町通りと並ぶ金融街を形成しました。

大正・昭和戦前期

大正時代以降、中島町の繁栄には翳りが差し始めました。1894年の山陽鉄道開通と広島駅の開業、1912年の市内電車の開通によって、市内のメインストリートは東に移り、本通、紙屋町、八丁堀などが新たな繁華街として台頭しました。1921年の新天地歓楽街の開発も、中島町の商業・娯楽地区としての地位を低下させる要因となりました。主要金融機関も紙屋町、八丁堀へと移転していき、中島新町の市役所も1928年に国泰寺町へ移転しました。しかし、映画館や洋食レストランなど、近代的な文化を発信する街として、中島町は依然として繁栄を続けました。中島本通には「すずらん灯」が設置され、夜の街並みを彩っていました。第二次世界大戦が始まると、経済統制により市内の盛り場全体が衰え、中島町でも多くの喫茶店や映画館が閉鎖を余儀なくされました。戦争末期には空襲への備えとして住民疎開が進み、天神町や木挽町、中島新町の一部では建物疎開が行われました。この疎開区域は、戦後、平和大通りとなりました。

原爆による壊滅から現在まで

1945年 8月6日、原爆投下により広島は壊滅的な被害を受けました。約1300世帯、約4400人が暮らしていた中島地区は、爆心地から500メートル以内に位置し、一瞬にして消滅しました。当日、建物疎開作業に従事していた学徒や義勇隊員も多くの犠牲者を出しました。戦後、生き残ったわずかな住民らが400戸のバラックを建てて暮らしていましたが、1950年に広島平和記念公園と平和大通りが建設されることになり、旧住民は立ち退きを余儀なくされました。1960年代からは、被爆前の街並みと被爆の実相を記録に残そうという動きが起こり、「爆心地復元調査」が行われました。現在も調査は続けられ、より精緻な復元地図が作成されています。戦後、この地区に残されたのは、被爆を免れたレストハウス（旧「大正屋呉服店」）、中島本通、慈仙寺の墓石、慰霊碑など、僅かな名残のみでした。2008年には、平和公園内に旧町並みを解説する説明板が設置されました。

旧町名と地誌

中島町を構成する旧6町（中島本町、材木町、天神町、元柳町、木挽町、中島新町）は、藩政期以前から存在していました。1965年の町名改正により、旧町名は消滅し、現在の「中島町」に統合されました。旧中島本町、材木町、元柳町は平和記念公園となり、旧天神町、木挽町の一部、中島新町の大部分は平和大通りまたは市街地として残っています。

各旧町については、それぞれの歴史、特徴、被爆による被害、戦後の状況などを詳細に記述できます（記述省略）。

現在の主要施設

平和公園内には、広島平和記念資料館、広島国際会議場、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館、レストハウス、慰霊碑などが建ち並びます。公園外には、病院、大学、寺院、学校、商業施設などが存在します。平和大通り、相生橋、元安橋、本川橋などの道路・橋梁も重要なインフラです。

被爆前存在した施設

中島本通商店街、中島集産場・勧商場、誓願寺、慈仙寺、浄圓寺、傳福寺、妙法寺、淨寶寺、天満神社、持明院、西福院など、多くの寺社、商店街、娯楽施設、商業・金融施設、旅館などが存在していました（記述省略）。

まとめ

中島町は、広島の歴史、特に原爆投下とその後の復興を象徴する重要な場所です。かつての繁華街としての賑わい、原爆による壊滅、そして平和公園としての再生という、複雑で重層的な歴史を理解することは、平和への願いを深める上で不可欠です。この町の歴史を紐解くことで、私たちは過去から学び、未来へと繋がる平和への道を模索することができます。そして、この地の記憶を未来へと継承していくことが、私たちの責務と言えるでしょう。

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