中川久清

中川久清（なかがわ ひさきよ）は、江戸時代前期に豊後国岡藩の第3代藩主を務めた人物です。その治世は、藩政の確立と教育の普及に力が注がれ、岡藩中興の英主と称えられています。

生涯

久清は、第2代藩主・中川久盛の長男として京都伏見で生まれました。幼名は津久丸。母は久松松平定勝の娘とされていますが、実際は安威忠右衛門の娘でした。幼少期は伏見で村井（上笠）五兵衛と吉田四郎左衛門という養育係に育てられました。

1653年、父の死去に伴い家督を継ぎ、岡藩の第3代藩主となりました。藩主になると、藩政を確立するために様々な改革に取り組みました。家老制度や奉行制度を制定し、藩の組織を強化するとともに、検地を実施し、キリシタン摘発のための絵踏みも行いました。さらに、岡山藩から熊沢蕃山を招聘し、植林政策や郷村制度の強化を図りました。これらの政策によって藩政の基礎を固めると、1666年に長男の久恒に家督を譲り隠居しましたが、その後も藩の実権を握り続けたと言われています。

久清は、久住連山の一つである大船山を深く愛していました。足が不自由であったにもかかわらず、「人馬鞍」と呼ばれる特別な鞍を屈強な男性に担がせて、何度も登山を試みたそうです。

1681年、江戸からの帰国途中に病に倒れ、同年11月20日に岡で亡くなりました。享年67歳。法号は宝厳院。墓所は、彼が愛した大船山の中腹、標高1,300メートルを超える台地にあり、「入山公墓」と呼ばれています。

藩政と人物像

中川久清は、藩政の確立に尽力し、岡藩の基礎を築いた名君として知られています。家老や奉行制度の整備、検地、キリシタン対策、植林政策、郷村制度の強化など、多岐にわたる改革を推進しました。また、教育の普及にも力を注ぎ、藩の文化的な発展にも貢献しました。彼の治世は、岡藩の歴史において重要な転換期となり、その功績は後世にまで語り継がれています。

系譜

父: 中川久盛（1594年 - 1653年）
母: 安威忠右衛門の娘
正室: 石川忠総の娘
長男: 中川久恒（1641年 - 1695年）
生母不明の子女
次男: 中川久豊
三男: 中川清正
四男: 中川久和
五男: 中川久旨
六男: 中川久矩
七男: 中川久周
女子: 酒井忠挙の養女 - 前田正甫正室
* 女子: 田辺某室

中川久清は、藩政の確立と教育の普及に努めた名君であり、岡藩中興の英主として、その名は歴史に刻まれています。

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