中期三畳紀

中期三畳紀の概要

中期三畳紀（英：Middle Triassic）は、約2億4720万年前から2億3700万年前までの期間を指し、中生代三畳紀の中で二番目に位置する地質時代です。この時期はラディニアンとアニシアンの2つの期に分かれています。当時、恐竜はまだ誕生しておらず、その基盤的な恐竜様類が世界各地に分散して生息していました。また、魚竜が多様化し、海洋生態系にも大きな変化が見られました。

地理的特徴と環境

中期三畳紀の時代には、地球上にパンゲア大陸が存在し、すべての大陸が連結していました。この時期は、前期三畳紀と比べると気温が下がったものの、平均気温は約25℃と比較的高温でした。これにより、陸上動物たちは乾燥した気候に適応せざるを得なかったようです。前期三畳紀の初期には、ペルム紀末の大量絶滅の影響が色濃く残っていましたが、中期三畳紀の海洋生態系は次第に回復していく様子が見て取れます。

動物相の多様性

海中にはすでに魚竜が広がり、その多様性を高めていました。中期三畳紀では、ミクソサウルス下目の魚竜が出現しました。これらは他の魚竜群に比べると小型であり、ミクソサウルスは全長70〜90センチメートル、クダノハマギョリュウは約1.5メートルに達していました。一方で、タラットアルコンのグループは、大型化を遂げたことで注目を集めます。約2億4500万年前に生息していたとされるタラットアルコンは、頭骨の長さが60センチに達し、全長は8.6メートルにおよんだとされています。このサイズは、現代のシャチに匹敵し、当時の海洋生態系において頂点捕食者として君臨していたと考えられています。このような捕食者の存在は、ペルム紀末の大量絶滅からの生態系の回復を示唆しており、上位の生物を支えるための生産量が回復したことを意味しています。

中期三畳紀には、基盤的な恐竜様類も確実に出現していました。代表的な種としてラゴスクスやシレサウルスがあります。これらの系統には、ラゲルペトン科やマラスクス、シレサウルス科が含まれ、特にシレサウルス科は恐竜と密接な関係を持っていました。また、約2億4300万年前にあたるニアササウルスは、この時期の恐竜の起源に関与していた可能性が高いとされ、研究者の中にはこれを最初期の恐竜そのものと見なす意見も存在します。

加えて、同じく約2億4300万年前のモエンコピ層からはアリゾナサウルスの化石が発見されており、これは偽鰐類の最古の記録とされています。この時期には、偽鰐類もすでに登場していたということが明らかにされています。さらに、約2億4000万年前のラウィスクス上科に属する化石も同じ地層から発見されており、当時の生態系における重要な捕食者とされます。ラウィスクス上科はティラノサウルス科に似た堅牢な顎を持ち、恐竜が大型化するのを妨げていた可能性も指摘されています。

このように、中期三畳紀は地球上の生態系に多様な動物相が登場し、またそれに対する環境の変化が見られた重要な時代でした。

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