中村好夫

中村好夫：日本の競馬史に名を刻んだ名調教師

1930年大阪府生まれの中村好夫氏は、日本中央競馬会（JRA）に所属した名調教師として知られています。1948年に騎手としてデビューしたものの、1950年に引退。その後、調教助手としてキャリアを積み重ね、1965年に調教師免許を取得しました。

調教師転身後は順調に勝ち星を重ね、1980年までに4つの重賞競走を制覇するなど、着実に実績を上げていきます。しかし、彼の調教師人生は、成功だけでなく、幾多の困難や事件にも彩られています。

1982年には管理馬サルノキングが東京4歳ステークスと弥生賞を連勝し、クラシック戦線での活躍が期待されました。しかし、スプリングステークスで4着に敗れた後、レース中の骨折が発覚。この出来事をめぐっては、マスコミから八百長疑惑が浮上するなど、大きな波紋を呼びました。

困難を乗り越え、1984年には、名騎手田原成貴騎手とのコンビでダイアナソロンが桜花賞を制覇。GI競走初制覇という偉業を達成しました。ダイアナソロンはその後も活躍し、優駿牝馬で2着、エリザベス女王杯で3着に入るなど安定した成績を残し、同年のJRA賞最優秀4歳牝馬を受賞しました。

続く1985年には、地方競馬から移籍してきたステートジャガーを管理し、大阪杯で優勝を飾ります。しかし、宝塚記念のレース後、ステートジャガーの尿から禁止薬物であるカフェインが検出され、中村氏は管理者責任を問われ、6か月間の調教停止処分を受けました。この事件は大きな衝撃を与え、競馬界に暗い影を落としました。

その後も重賞勝利からは遠ざかりましたが、1989年にはルイジアナピットが重賞2勝を挙げ、JRA賞最優秀5歳以上牝馬を受賞。さらにコガネタイフウが阪神3歳ステークスを制覇するなど、4つの重賞競走を勝利しました。1994年にはフジノマッケンオーがJRA賞最優秀ダートホースを受賞、1995年にはダイカツストームが中山大障害（春）を制覇するなど、活躍馬を次々と輩出しました。

1999年には、厩舎所属の大辻省二氏が優秀調教助手賞を受賞するなど、厩舎全体として高いレベルを維持していました。2001年2月末に定年により調教師を引退した後も、一口クラブや競馬予想会社に関わるなど、競馬界との関わりを続けました。

2018年6月5日、88歳で老衰のため逝去されました。その功績は、多くの名馬を育成し、日本の競馬界に大きな足跡を残した、数々の事件や栄光を経験した、まさに波乱万丈の人生だったと言えます。彼の指導の下で活躍した騎手や調教助手たちも、日本の競馬界に大きな貢献を果たしました。中村好夫氏の功績は、日本の競馬史に永遠に刻まれることでしょう。

主な管理馬

サルノキング（1982年 東京4歳ステークス、1982年 弥生賞）
ダイアナソロン（1984年 桜花賞、1984年 サファイヤステークス、1984年 JRA賞最優秀4歳牝馬）
ステートジャガー（1985年 大阪杯）
コガネタイフウ（1989年 阪神3歳ステークス）
ルイジアナピット（1989年 東京タイムズ杯、1989年 阪神牝馬特別、1989年 JRA賞最優秀5歳以上牝馬）
フジノマッケンオー（1994年 根岸ステークス、1996年 ダービー卿チャレンジトロフィー、1996年 セントウルステークス、1994年 JRA賞最優秀ダートホース）
ダイカツストーム（1995年 中山大障害（春））

主な厩舎所属者

太宰義人（騎手）
崎山博樹（騎手）
牧田和弥（騎手）

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