ステートジャガー

ステートジャガー：栄光と影の競走馬物語

ステートジャガーは、地方[[競馬]]で頭角を現し、中央[[競馬]]へと舞台を移したサラブレッドです。南関東公営[[競馬]]でデビュー、黒潮盃を制覇するなど5連勝を飾る快進撃を見せつけました。しかし、南関東三冠競走ではキングハイセイコーに阻まれ、羽田盃2着、東京ダービー3着という結果に終わります。その後、笠松競馬場に移籍し、東海ゴールドカップを制覇するなど活躍を続けました。

1985年、ステートジャガーは中央[[競馬]]へと移籍。栗東トレーニングセンターを拠点に、移籍初戦のマイラーズカップでは、強豪ニホンピロウイナーに迫る2着という好成績を収めます。続くサンケイ大阪杯では、ミスターシービーとの激しいデッドヒートを制し、見事優勝を飾りました。この勝利は、ステートジャガーの才能を改めて世に知らしめるものとなりました。

続く天皇賞（春）を回避し、宝塚記念に挑んだステートジャガーは、シンボリルドルフの不出走により、単勝1番人気に支持されました。レースでは積極的に先行するも、最後の直線で伸びを欠き4着に終わります。しかし、この敗戦は単なる不運では終わらず、運命の歯車が大きく狂い始めることとなります。

レース後のドーピング検査で、ステートジャガーの尿から禁止薬物であるカフェインが検出されたのです。これにより、ステートジャガーは失格、賞金没収という処分を受けました。さらに、レース前に薬物使用に関する告発があったとの報道もされました。この事件は「ステートジャガー事件」と呼ばれ、警察による捜査も開始されました。騎手の田原成貴氏も事情聴取を受けましたが、犯人は特定されず、事件の真相は闇の中へと消えていきました。結果として、管理調教師の中村好夫氏が管理責任を問われ、6ヶ月の調教停止処分を受けました。

ドーピング疑惑の影がステートジャガーを覆い、高松宮杯への出走予定も取り消されました。その後、美浦トレーニングセンターへ転厩しますが、脚部の故障により約2年間もレースに出走できず、引退を余儀なくされます。

華々しい活躍とは裏腹に、ステートジャガーの引退生活は平穏なものではありませんでした。地方[[競馬]]時代の馬主、佐橋五十雄氏のもとで種牡馬となりましたが、地味な血統と薬物疑惑が重なり、種付けの機会は少なく、目立った活躍馬は生まれず、廃用寸前まで追い込まれます。しかし、ステートジャガーの産駒から、ステートジョージ（北関東菊花賞優勝）やメルシーステージ（中央[[競馬]]重賞2勝）といった活躍馬が誕生。この活躍を受けて、奇跡的に種牡馬復帰を果たします。しかし、種付け数は伸び悩み、新たな活躍馬を生み出すことはありませんでした。1995年には負傷し、青森県八戸市のワールドファームに移籍しますが、1997年に供用停止となり、その後は消息不明となっています。

ステートジャガーの半姉には、重賞勝ち馬がおり、全弟も中央[[競馬]]で活躍しました。その血統背景からも、ステートジャガーの才能の一端を垣間見ることができます。栄光とスキャンダル、そして静かな引退。ステートジャガーの生涯は、競走馬世界の光と影を象徴する物語として、後世に語り継がれることでしょう。

参考文献

木村光男「ステートジャガー薬物疑惑事件」『競馬事件簿』ラジオたんぱ、1998年
畠山直毅「競作ノンフィクション・シリーズ 流浪の馬と呼ばれて」『優駿』、日本中央[[競馬]]会、1995年8月

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