中村渓男

中村渓男について

中村渓男（なかむら たにお、1921年8月26日 - 2001年5月19日）は、日本の美術評論家です。日本画家として著名な中村岳陵の長男として、神奈川県に生まれました。本名は秀男です。彼は慶應義塾大学文学部史学科を卒業し、美術史学会や美術評論家連盟に所属していました。

学術的な活動

中村渓男は、宇都宮文星短期大学で教授を務め、成田山書道美術館では副館長を務めました。これらの役職を通じて、美術教育と美術普及に貢献しました。彼の学術的な背景は、美術評論家としての活動に大きな影響を与え、その深い知識と洞察力は多くの人々を魅了しました。

美術評論家としての活動

美術評論家として、中村渓男は日本美術、特に日本画に関する深い知識と理解を持っていました。彼の評論は、作品の本質を捉え、その歴史的背景や文化的意味を深く掘り下げていました。

主な著作と編纂

中村渓男は、多くの著作を執筆し、また編纂にも携わりました。以下に主な著作と編纂を紹介します。

著作

『日本人の表情 絵画にみる喜怒哀楽』(1958年、社会思想研究会出版部)
『墨絵の美』(1959年、明治書房)
『日本の絵画』(1959年、社会思想研究会出版部)
『祥啓』(1970年、三彩社)
『絵画に見る日本の美女』(1970年、保育社)
『茶画のしおり 百選』(1979年、茶道之研究社)
『古画名作裏話』(1986年、大日本絵画)
『四季の茶画』(1990年、求竜堂)
『今村紫紅 近代日本画の鬼才』(1993年、有隣新書)

編纂・共編著

『雪舟』(1956年、講談社)
『講談社版日本近代絵画全集 第20巻 今村紫紅』(1964年)
『国宝日本の名画 第1-6』(1966-1967年、集英社)
『現代作家デッサン集』(1969年、芸艸堂)
『水墨美術大系 第7巻 雪舟・雪村』(1973年、講談社)
『現代日本美術全集 3 菱田春草,今村紫紅』(1973年、集英社)
『日本美術絵画全集 第4巻 雪舟』(1976年、集英社)
『酒井抱一画集』(1976年、国書刊行会)
『巨匠の名画 14 菱田春草』(1977年、学習研究社)
『草木花写生 狩野探幽』(1977年、紫紅社)
『抱一派花鳥画譜 全5巻別巻』(1978-1980年、紫紅社)
『現代日本絵巻全集 12 近藤浩一路/中村岳陵』(1983年、小学館)
『近世屏風絵秀粋』(1983年、京都書院)
『現代の水墨画 6 川合玉堂・川端龍子』(1983年、講談社)
『現代の水墨画 4 速水御舟・前田青邨』(1983年、講談社)
『現代の水墨画 3 菱田春草・平福百穂』(1984年、講談社)
『現代の水墨画 9 名作選 1 明治・大正・戦前』(1984年、講談社)

これらの著作や編纂を通じて、中村渓男は日本美術の魅力を広く伝え、美術史研究に大きく貢献しました。

晩年と死

中村渓男は、2001年5月19日に心不全のため、その生涯を閉じました。彼の美術に対する情熱と深い知識は、後世に語り継がれています。息子の中村宗弘も日本画家として活躍しており、中村家の芸術的な血脈は現在も受け継がれています。

まとめ

中村渓男は、美術評論家として、また教育者として、日本美術の発展に多大な貢献をしました。彼の業績は、今後も美術界において重要な役割を果たし続けるでしょう。

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