中村滋延

中村滋延（なかむら しげのぶ）は、1950年大阪府大阪市生まれの作曲家、メディア・アーティストです。九州大学名誉教授の肩書きを持ち、現代音楽の分野で国際的な評価を得ています。

同志社高等学校を経て、愛知県立芸術大学音楽学部作曲科で石井歓に師事。その後、ドイツのミュンヘン国立音楽大学作曲科でヴォルフガング・キルマイヤーに師事し、1977年に愛知県立芸術大学大学院を修了しました。

作曲家としては、「交響曲第1番アニマ」をはじめとする5つの交響曲や、「弦楽器群のためのモルゲン」などのオーケストラ作品、室内楽、そして「ピアノのためのMei-An」のような器楽曲など、100を超える作品を手がけています。その作品は多岐にわたり、現代音楽の分野で独自の地位を確立しています。国際的なコンクールでの受賞歴も多数あり、ガウデアムス音楽週間内若手作曲家対象国際コンクールでは佳作を受賞しています。

1980年代には、NHKのテレビドラマの音楽を数多く担当し、幅広い層に親しまれるメロディを提供しました。しかし、80年代後半からはコンピュータ音楽に傾倒し、ミュージックシアターや映像音響詩といった分野で多くの作品を発表。ドイツのメディアアート研究所「ZKM」に客員芸術家として招かれるなど、国際的な評価を確立しました。

近年の中村の作品は、反復語法を多用し、楽器法による音色の比重を重視する傾向があります。また、東南アジアの説話劇「ラーマヤナ」からインスピレーションを得て、西洋楽器のための作品や、固定映像とライブパフォーマンスを組み合わせたメディアアート作品を制作するなど、ユニークな活動を展開しています。

教育者としても長年にわたり貢献しており、同志社女子大学講師、京都造形芸術大学教授、九州芸術工科大学芸術工学部音響設計学科教授、九州大学大学院芸術工学研究院教授を歴任しました。

主要作品
交響曲第1番「アニマ」
交響曲第2番「トーテム」
交響曲第3番「レリーフの回廊」
交響曲第4番「ラーマヤナ 愛と死」
交響曲第5番「聖なる旅立ち」
ピアノのためのMei-An
デジャ・ヴュ〜ピアノのための
弦楽四重奏曲1973
弦楽四重奏のための「レリーフ」
弦楽四重奏のための音詩「悲しみの島」
弦楽器群のためのモルゲン
かがみ（ライブ・コンピュータ音楽）
チャッター・ボックス（ライブ・コンピュータ音楽）
ラーマの影（ライブ・コンピュータ音楽）
Lust（映像音響詩）
曼陀羅幻想（映像音響詩）
恋の華 白蓮（NHKドラマ人間模様の音楽）
都の風（NHK朝の連続テレビ小説の音楽）
* 砂の上のロビンソン（NHKドラマ人間模様の音楽）

中村滋延は、現代音楽の作曲家としてだけでなく、メディア・アーティストとしても常に新しい表現を追求し、その作品は国内外で高く評価されています。

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