中村錦之助 (2代目)

二代目 中村錦之助：端麗な二枚目役者、歌舞伎の中堅を支える存在

二代目中村錦之助は、1959年生まれの歌舞伎役者です。屋号は萬屋、定紋は桐蝶、替紋は萬屋蔓片喰を使用します。本名は小川信次郎。慶應義塾高等学校を中退しています。

四代目中村時蔵を父に持ち、華麗なる歌舞伎一家に生まれた錦之助。兄には中村萬壽、叔父には初代中村錦之助（俳優の萬屋錦之介）と中村嘉葎雄がいます。また、初代中村隼人は兄、女優の千晴子は姉にあたります。

1964年、中村信二郎の名で歌舞伎座『宮島のだんまり』にて初舞台を踏みます。端正な顔立ちとすらりとした体格から、端麗な二枚目役者として高く評価されました。

当初は三代目市川猿之助の門下で研鑽を積み、数々の舞台を経験します。その後、1997年からは五代目中村富十郎に師事し、古典歌舞伎を中心に幅広い役柄に挑戦。1990年代後半から2000年代初頭にかけては、歌舞伎界においてベテランと若手世代の間に、中堅世代の役者が不足する傾向がありましたが、錦之助はその貴重な中堅二枚目役者として活躍しました。

錦之助の代表的な演目には、『仮名手本忠臣蔵』の斧定九郎や『義経千本桜』の主馬小金吾などがあります。近年では、より重要な役どころを務める機会が増え、『双蝶々曲輪日記』の山崎屋与五郎（平成15年1月国立劇場）、『芦屋道満大内鑑』「葛の葉」の安倍保名（平成15年6月歌舞伎座）など、その存在感はますます大きくなっています。

2007年4月、歌舞伎座『鬼一法眼三略巻』「菊畑」の虎蔵実ハ牛若丸と『双蝶々曲輪日記』「角力場」の放駒長吉、そして山崎屋与五郎の三役をこなし、見事二代目中村錦之助を襲名しました。

歌舞伎以外の活動にも目を向けると、映画やテレビドラマへの出演も多数あります。映画では、『たそがれ清兵衛』で藩主役を、『沓掛時次郎 遊侠一匹』で太郎吉を演じました。テレビでは、大河ドラマ『天と地と』で上杉景勝役を演じたほか、『破れ新九郎』『赤穂浪士』『鬼平犯科帳』『真夜中の匂い』『塚原卜伝』など、数々の作品に出演。幅広い役柄をこなす高い演技力が評価されています。

主な歌舞伎出演作品としては、『吉例寿曽我』の曽我十郎、『元禄忠臣蔵』の片岡源五右衛門と磯貝十郎左衛門、『鬼揃紅葉狩』の平維茂、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』の熊襲弟タケルとヤマトタケル（1988年特別マチネ公演）、『番町皿屋敷』の青山播磨、『NINAGAWA十二夜』の大篠左大臣、『国性爺合戦』の五常軍甘輝、『夏祭浪花鑑』の一寸徳兵衛、『隅田川続俤』「法界坊」の手代要助、『鬼平犯科帳』「大川の隠居」の同心酒井祐助などがあります。これらの作品からも、錦之助の演技力の幅広さと、古典から現代劇までこなす高い適応能力がうかがえます。

二代目中村錦之助は、歌舞伎界において、その端麗な容姿と確かな演技力で、これからも多くの観客を魅了し続けることでしょう。

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