中池見湿地

中池見湿地の紹介

中池見湿地（なかいけみしっち）は福井県敦賀市に位置し、天筒山などの低山に囲まれた内陸低湿地です。面積約25ヘクタールのこの地域は泥炭湿地として分類され、環境保全が求められる重要な場所とされています。日本の地形レッドデータブックにもその価値が зазначされています。

この湿地は、木ノ芽川の支流にあたる地域の源流域に位置し、2012年には越前加賀海岸国定公園の一部として認定され、ラムサール条約に登録されました。これによって、中池見湿地は国内でも特に貴重なトンボの生息地と知られていますが、一方でアメリカザリガニの異常繁殖が大きな問題となっています。

歴史

かつてはスギの巨木が生い茂る湿地でしたが、江戸時代の新田開発によりほとんどが水田に転用されてしまいました。その後、減反政策の影響で休耕田が増加し、売却された土地は大阪ガスによってほぼ放置されました。このことが現在の多様なモザイク状の生態系を形成する要因となりました。2005年、その土地は敦賀市に寄付され、湿地の保全が進められています。また、2001年には環境省によって日本の重要湿地500に選定され、2012年には新たなラムサール条約の登録候補地の指定も受けました。

湿地の特徴

中池見湿地の地形は敦賀断層の影響で形成された袋状の埋積谷にあり、数十メートルに及ぶ泥炭層が記録されていることで知られています。この層には約10万年にわたる環境変遷の歴史が残されています。特に、この湿地は特有の植物群落があり、様々な水生昆虫が生息しています。確認されているトンボの種類は70種に及び、最近では新種の小さなテントウムシも見つかり、ナカイケミヒメテントウという名が付けられました。

さらに、動植物の種数は約3000種に達し、絶滅危惧種にはデンジソウやメダカなど約120種が含まれています。また、ノジコなどの野鳥も観察されています。

植物と生物

湿地には多様な植生が存在し、湿原環境に適した植物が繁茂しています。この地域の豊かな生態系は、地域住民にとっても重要な自然資源であり、観光や教育の場としても活用されています。南東端にはビジターセンターが設けられており、中池見の水辺に生息する生物の展示が行われています。また、湿地の南西端には移築された茅葺の古民家が展示され、地域の文化を体感できる場ともなっています。

環境への懸念

LNG基地建設計画

1992年に大阪ガスが液化天然ガス基地建設計画を発表しましたが、市民団体は湿地保護を求める反対運動を展開しました。1996年からは生態系調査が進められ、生物多様性の高さが確認されました。2002年にこの計画は断念され、所有されていた土地は2005年に敦賀市に寄付されました。現在は市やNPOの手で保全活動が行われています。

北陸新幹線建設計画

北陸新幹線のルートが中池見湿地を通過することがわかり、環境への悪影響が懸念されています。地域の多くの生物、特にヘイケボタルへの影響を懸念した声が上がり、ルート変更が検討されました。関連団体からはラムサール条約に基づく環境管理の要求が提出されています。アウトラインの策定やモニタリング調査の結果も公開されることが求められています。

交通アクセス

中池見湿地は敦賀駅から約2km、北陸自動車道敦賀インターチェンジから約1kmの距離に位置しています。周囲には国道やアクセス道路が整備されており、訪れるのも比較的容易です。また、中部北陸自然歩道や木道の観察路もあり、自然観察を楽しむことができます。

このように中池見湿地は、貴重な生態系を保護しつつ、地域の人々が自然と共存できるような活動が進められている重要な地域です。

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