中野並助

中野並助

中野並助（なかの なみすけ、1883年3月1日 - 1955年5月23日）は、日本の検察官、検事総長、弁護士です。群馬県南甘楽郡神川村（現在の多野郡神流町）に生まれました。

人物

中野は、東京大学在学中に郷里へ帰省した際、小学生時代の同級生から「検察官」という職業を勧められたことがきっかけで、その道を志したとされています。司法省入省後は、同期の松阪広政と親交を深め、松阪は中野の葬儀委員長を務めるほどでした。

福井地方裁判所検事正時代には、飛島組社長の選挙違反事件で、周囲の反対を押し切って立件に持ち込み、塩野季彦から賞賛を受けました。また、東京地方裁判所検事局次席検事時代には、帝人事件で「世間の常識からみて贈賄に株券を用いるだろうか」と発言し、実証主義を徹底しました。これらの事件から、中野は平沼騏一郎や塩野季彦のような思想検事と見なされることもありましたが、実際にはバランス感覚に優れた人物でした。

太平洋戦争中は、東條内閣に対して強い反感を抱き、親しい友人にはその不満を漏らしていたとされています。戦後、公職追放の対象となり、検事総長を退任後は弁護士として活動しました。

略歴

1883年（明治16年）：群馬県南甘楽郡神川村に生まれる。
旧制東京府立第一中学校、旧制第一高等学校卒業。
1909年（明治42年）：東京帝国大学法科大学法律学科卒業。司法省入省、函館地方裁判所司法官試補。
1912年（明治45年）：検事に任官。名古屋地方裁判所検事局・名古屋区裁判所検事局予備検事。
1913年（大正2年）：富山地方裁判所・富山区裁判所検事。
1915年（大正4年）：神戸地方裁判所・神戸区裁判所検事。
1920年（大正9年）：大阪地方裁判所・大阪区裁判所検事、従六位。
1923年（大正12年）：勲六等瑞宝章受章。浦和地方裁判所・浦和区裁判所検事、正六位。
1927年（昭和2年）：従五位。勲五等瑞宝章受章。
1931年（昭和6年）：横浜地方裁判所検事。
1932年（昭和7年）：正五位。
1933年（昭和8年）：勲四等瑞宝章受章。
1934年（昭和9年）：福井地方裁判所検事正。
1936年（昭和11年）：札幌地方裁判所検事正。
1937年（昭和12年）：東京控訴院検事。東京保護観察審査会委員、弁護士審査委員会予備委員、従四位。
1938年（昭和13年）：勲三等瑞宝章受章。東京地方裁判所検事正、司法制度調査委員会臨時委員。
1940年（昭和15年）：広島控訴院検事長。
1941年（昭和16年）：大審院検事、弁護士審査委員会委員、会計検査官懲戒裁判所検察官。
1942年（昭和17年）：正四位。
1943年（昭和18年）：大阪控訴院検事長、弁護士審査委員会委員を退任。
1944年（昭和19年）：検事総長に就任。
1946年（昭和21年）：公職追放の指定を受け、退官。
1955年（昭和30年）：死去。享年72。墓所は青山霊園。

著書

『犯罪の通路』（中公文庫） ISBN 4-12-201365-8 C1132

関連項目

小林芳郎
平沼騏一郎
塩野季彦
正力松太郎

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