中野由章

中野 由章（なかの よしあき）

1965年12月15日生まれ。教育者であり、技術士（総合技術監理・情報工学）の資格を持つ情報教育の専門家です。多岐にわたる教育分野での経験と専門知識を活かし、現在は工学院大学附属中学校・高等学校の校長を務めると同時に、工学院大学教育支援機構教育開発センターの特任教授としても教鞭をとっています。

経歴

中野氏は、芝浦工業大学工学部通信工学科を卒業後、同大学大学院工学研究科電気工学専攻を修了し、さらに大阪大学大学院人間科学研究科でも学びました。現在は放送大学教養学部にも在学中です。

キャリアの出発点は日本アイ・ビー・エム株式会社大和研究所でした。その後、教育の道へと転じ、長年にわたり高等学校および大学において情報教育に深く関わってきました。高等学校では、三重県立名張西高等学校や尾鷲工業高等学校、神戸市立科学技術高等学校などで情報科や電気情報システム科の教諭、教頭として教育現場を牽引しました。大学では、千里金蘭大学で講師、准教授を務めた後、大阪電気通信大学で特任講師や客員准教授として、また放送大学や東京大学理学部では非常勤講師として教壇に立ちました。これらの豊富な経験を経て、2021年4月からは現職である工学院大学附属中学校・高等学校の校長に就任し、同時に工学院大学の特任教授としても活動しています。

研究分野と活動

専門とする情報教育に加え、教育工学、特別支援教育、科学教育など、幅広い分野に関心を寄せ、研究活動を行っています。特に情報教育においては、その普及と発展に情熱を注いでおり、国際情報オリンピックや、プログラミングを用いないコンピュータ科学教育手法であるコンピュータ・サイエンス・アンプラグドといった活動を通じて、次世代の情報教育のあり方を模索し、実践しています。

また、青山学院大学のピクトグラム研究所の所員として、視覚的なプログラミング環境であるピクトグラミングの開発や普及にも貢献しています。国内外での学会発表も積極的に行っており、iiceHawaii2025での発表は国際的な活動の一例です。

所属学協会および社会的活動

情報処理学会をはじめ、関西情報技術士会、関西教育メディア研究協議会など、複数の学協会に所属し、専門分野における知見の共有と発展に貢献しています。情報処理学会では、初等中等教育委員会の委員長や、情報科教員・研修委員会、情報入試委員会の委員などを務め、学会活動の中心的な役割を担っています。さらに、情報オリンピック日本委員会の理事やJABEE（日本技術者教育認定機構）の審査員としても活動し、情報分野の人材育成や教育の質の向上に尽力しています。

受賞歴

長年の教育・研究活動は高く評価されており、数々の賞を受賞しています。日本IBMでのTechnical Excellenceに始まり、大阪電気通信大学のベストティーチャーズ賞、情報処理学会からのデモ・ポスター賞、優秀発表賞、山下記念研究賞、学会活動貢献賞、大会優秀賞など、学会活動における顕著な功績が認められています。特に2017年には科学技術分野で文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞し、2024年には視聴覚教育・情報教育功労者として文部科学大臣から表彰されるなど、国からもその貢献が認められています。

主な著作

情報教育に関する書籍の執筆にも携わっており、『キーワードで学ぶ最新情報トピックス』、『新・見てわかる社会と情報』、『新・社会と情報』、『新・情報の科学』、『情報科教育法』など、情報科の教科書や指導書、専門書を多数共著で出版しています。これらの著作は、情報教育の現場や研究者にとって重要な資料となっています。

中野由章氏は、教育者、研究者、そして教育行政に携わる者として、日本の情報教育の推進において中心的な役割を果たし続けています。

もう一度検索