丸子町駅

丸子町駅（まるこまちえき）とは

丸子町駅は、かつて長野県小県郡丸子町（現在の上田市）に位置していた上田丸子電鉄丸子線の駅です。1918年に丸子鉄道の駅として開業し、1969年に丸子線の廃線に伴い廃止されました。この駅は、地域の主要産業であった製糸業を支える貨物輸送と、旅客輸送の両方の役割を担っていました。

歴史

丸子町駅は、1918年11月21日に丸子鉄道の第1期線として大屋駅（後の電鉄大屋駅）から延伸し、終着駅として開業しました。当初は「まりこまちえき」と読まれていましたが、後に「まるこまちえき」と改称されました。

開業当初から、駅は貨物輸送の拠点としての機能が重要視されていました。駅には旅客用のホーム1面と複数の貨物用線路が併設され、大屋駅方面から運ばれてきた貨物が、馬車などに積み替えられ、製糸業の盛んな諏訪・岡谷方面へと輸送されていました。また、丸子町自体も製糸業が盛んであったため、駅は地域経済の重要な役割を果たしていました。

1933年には、駅舎の改築が行われ、同時に省営バス（後の国鉄バス、現在のJRバス関東）の和田峠線が駅のホームに乗り入れるようになりました。これにより、鉄道とバスの乗り換えがスムーズに行えるようになり、利便性が向上しました。しかし、列車の重連化やバスの大型化に伴い、ホームへのバス乗り入れは廃止されました。

1943年、交通統合により上田丸子電鉄丸子線の駅となり、1952年には二度目の駅舎改築が行われました。しかし、1969年4月20日、丸子線の廃線とともに、丸子町駅はその歴史に幕を閉じました。

駅の構造

廃止時の丸子町駅は、単式ホーム1面1線を持つ地上駅でした。ホームは線路の西側に位置し、その東側には貨物側線が2線と、車両基地が併設されていました。駅舎はホームの中央部分に接しており、駅員が配置されていました。駅構内には「丸子電車区」と呼ばれる車両基地があり、複数の車両を格納できる車庫や検車庫が設けられていました。丸子鉄道時代には、この駅に本社も置かれていました。

二代目駅舎とバス連絡

二代目駅舎は、省営バスとの連絡を考慮した構造になっていました。ホーム上屋が拡張され、バス専用のロータリーが設けられ、バスが直接ホームに乗り入れられるようになっていました。この構造は、省営自動車バスの和田峠線が開通したことに合わせて整備されました。しかし、このバス連絡機能も、後に列車の重連運転やバスの大型化に伴い廃止されました。

駅周辺

丸子町駅の周辺には、上田丸子電鉄西丸子線の西丸子駅や、国道152号、長野県道167号・174号などの主要道路が通っていました。また、丸子町役場（現在の上田市役所丸子地域自治センター）や丸子駅前郵便局、上田市立丸子中央小学校などの公共施設も近隣にありました。さらに、丸子文化会館の向かいにある「工業百年記念公園」には、丸子線で活躍したED25形電気機関車ED25 1が静態保存されています。

駅跡地の現在

1996年時点では、旧駅構内にはスーパーマーケットが建てられていましたが、現在はカワチ薬品となっています。しかし、駅周辺には「丸子駅前郵便局」や「駅前通り」などの「駅前」を冠した名称が残っており、かつて駅があったことを物語っています。駅跡地は、バスターミナルとして再利用され、現在も複数のバス事業者が乗り入れています。バス停の名称は事業者によって異なり、千曲バスは「丸子駅」、東信観光バスは「丸子」、JRバス関東は「丸子町」、上田バスは「丸子町」と表記しています。

丸子町駅のその後

丸子町駅は、地域の人々の生活を支え、貨物輸送の拠点として活躍しましたが、時代の変化とともにその役割を終えました。しかし、駅があった場所は現在も、交通の要所として利用されており、人々の生活に深く根付いています。

もう一度検索