丹羽正庸

丹羽正庸：幕末の地下人、三条家を支え尊攘派と交流した志士

丹羽正庸（にわ まさつね）は、文政5年3月4日（1822年4月25日）に生まれ、明治15年（1882年）8月4日に没した、幕末期の地下人です。父は丹羽正高、母は箕輪氏という家系に生まれ、幼名は正統と名付けられました。

三条家諸大夫としての活動

天保3年（1832年）、丹羽正庸は家督を相続し、三条家の諸大夫という要職を継承しました。同時に、従六位上豊前守に叙任され、弘化元年（1844年）からは大学助を兼務するなど、朝廷内での地位を確立していきます。嘉永6年（1853年）には、従五位上に昇叙されるなど、順調に昇進を重ねました。

丹羽正庸は、三条実万・実美の2代にわたり三条家の家政を預かり、その運営を支えました。安政元年（1854年）には、江戸における情報収集の任務を担い、幕府の動向や社会情勢を探る役割を果たしました。

尊攘派との交流と安政の大獄

丹羽正庸は、多くの尊攘派志士と交流を持ち、倒幕運動に深く関与しました。しかし、その活動が幕府に露見し、安政5年（1858年）に安政の大獄で捕えられてしまいます。翌安政6年（1859年）には江戸に送られ、追放刑という重い処分を受けました。

赦免と復職、そして晩年

文久2年（1862年）、和宮降嫁の大赦により、丹羽正庸は赦免され、京に戻ることが許されました。帰京後は、再び三条家の諸大夫に復職し、三条家を支える役割を担いました。

丹羽正庸の墓所は、東京都港区の青山霊園にあります。彼は、幕末の激動期に、地下人として、また三条家の家臣として、時代の波に翻弄されながらも、自らの信念を貫き通した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

丹羽正庸は、幕末という激動の時代において、朝廷と尊攘派、そして幕府という三者の間で揺れ動きながらも、それぞれの立場を理解し、日本の未来のために奔走しました。その功績は、決して大きく表に出ることはありませんでしたが、彼の行動は、日本の歴史に深く影響を与えたと言えるでしょう。

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