主油司

主油司について

主油司（しゅゆし）は、日本の歴史における律令制の一部として、宮内省に属する役所であり、その役割は油の管理と供給に特化していました。主油司は、食用、薬用、工芸用の油を扱っていましたが、その中心的な役割は、燈火のための油の供給にありました。

主油司の業務と構成

主油司は、諸国から貢進される膏（獣油や植物油）を管理していました。獣脂の一例として猪油（いのししのあぶら）が挙げられ、また植物油としては胡麻油や麻子油、荏油、曼椒油などが含まれます。これらの油は、それぞれ用途が異なり、食料としての利用から、薬学や工芸品の製作にまで幅広く供されました。

主油司の構成には、正・佑・令史各1名、及び使部6人、直丁1人が含まれていました。これにより、必要な業務が円滑に進むような体制が整えられていました。官位令に基づくと、正は従六位上に相当し、佑は正八位下、令史は少初位上の地位に位置づけられていました。これらの役人たちは、油に関する専門知識や管理能力を持ち合わせていたと考えられます。

油管理の歴史と変遷

主油司は歴史の中で様々な変遷を経ました。元慶5年（881年）には、官符により官田を割いて要劇料田が設置され、この地域において「主油司七町九段二百五十八歩」という記録が見られます。このように、時代に応じた油の供給体制が整えられていたことがわかります。

しかし、寛平8年（896年）9月には、その職掌が主殿寮に移行し、主油司自体は廃止されました。この結果、要劇料田も官田に戻り、主油司はその歴史の幕を下ろしました。これは、日本の官制や行政組織の変化の一端を示していると言えるでしょう。

関連文献と研究

主油司やその機能についての詳細な情報は、以下の文献に記載されています。『岩波日本史辞典』（監修：永原慶二、岩波書店、1999年）や『国史大辞典』（文：今江広道、吉川弘文館、1986年）は、この時代の日本の官制やその役割を知るために有用なリソースです。また、主油司の重要性は、日本の資源エネルギー政策にも関連しており、現代における石油資源開発（INPEXなど）にまで影響を及ぼしています。

主油司の役割やその歴史を知ることは、日本の官制の理解を深める上で重要な視点を提供します。

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