主流派経済学

主流派経済学について

主流派経済学とは、一般的に多数の経済学者に支持されている経済学の体系を指します。この学派には、新古典派経済学とケインズ経済学の2つが主要な柱となっています。一般に、主流派経済学は異端派経済学と対比されることが多く、日本ではしばしば近代経済学と同義で使用されます。

主流派経済学の起源

主流派経済学の発展は、古典派経済学からの流れとして考えることができます。かつて、ヨーロッパにおいては重商主義が影響力を持っていましたが、これは特定の学校に基づくものではなく、緩やかな思想の集合体でした。18世紀後半、アダム・スミスが発展させた近代経済学は、次第に古典派と呼ばれる学派が主導するようになりました。1930年代まで、英語圏では古典派経済学が主流で、その後は新古典派が継承しました。

フランスでは重農主義の影響が独自の伝統を形作り、ドイツでは歴史学派が発展しました。イギリスでは、経済の停滞は消費者の需要の不足から来るという過少消費説の議論が続いていました。大恐慌期において、ケインズ経済学が注目され、第二次世界大戦後にはポール・サミュエルソンによる新古典派の統合が進みました。これにより、マクロ経済学とミクロ経済学の理論が融合され、1950年代から1970年代にかけて強い影響力を持ちました。

マクロ経済学の変遷

しかし、新古典派統合が1970年代のスタグフレーションを説明できなかったことから、マクロ経済学の合意は崩壊し、新しい流れが出現しました。これがニュー・ケインジアンと新古典派マクロ経済学です。1980年代から1990年代にかけては、両者の要素を取り入れた新しい新古典派総合が形成され、今日の主流派経済学の基礎となっています。この新しい流派は、計量経済学的手法を用いてモデルを検証するという前例のない合意が特徴となっています。

「主流経済学」という言葉が広まった背景には、サミュエルソンとノードハウスの教科書「経済学 第17版」があり、ここではJ.M.ケインズと新古典派経済学の融合が示されています。

現代の主流派経済学

最近の世界金融危機（2007年-2010年）によって、マクロ経済学のモデルにおける欠陥が明らかになりました。この状況を受けて、経済学の専門職は新古典派経済学と結びつけられる傾向が強いとされています。しかし、デイヴィッド・コランダーは、現在の主流理論がゲーム理論、行動経済学、産業組織論、情報経済学などを包含し、新古典派経済学と初期の公理とは大きく異なる要素を持ち合わせていると指摘しています。

結論

主流派経済学は、その歴史的背景や流派の変遷を理解することで、現代の経済問題に対処するための重要な視点を提供しています。多様なアプローチが存在する中で、この学問の発展レベルとその基盤となる理論の変革は、今後の経済学の方向性を決定づけるでしょう。

もう一度検索