久々利川

久々利川についての詳細

久々利川（くくりがわ、くぐりがわ）は、岐阜県可児市を流れる木曽川水系の一級河川で、その重要な支流の一つです。この川は可児川に合流し、さらには木曽川へと続く水流を持っています。

地理情報

久々利川の源流は可児市東部の久々利地区にあり、川は可児市中央部を西へ流れます。全体の流路延長は約9.7キロメートルで、そのうちの約7.6キロメートルは河川法に基づく区域です。上流部には、日本で最初に完成したロックフィルダムとされる小渕ダムが存在し、このダムは防災の目的で建設され、周囲は公園として整備されています。

流域には古墳や古窯跡といった貴重な歴史遺産が点在しており、地域の文化的価値も高く評価されています。久々利川の名前の由来は、かつて「泳川」とも表記され、周辺地域が纐纈の産地であったことから来ているとされます。「久々利」という文字の使用が始まったのは、室町時代の土岐行春の時代以降のことと考えられています。また、この川は第三紀の低い丘陵地を流れており、その川底は凝灰岩に覆われているため、場所によっては滑りやすい特性があります。これにより、「すべり川」という名称でも親しまれています。

主な支流と橋

久々利川にはいくつかの重要な支流が存在します。その中でも主要な支流には、姫川、大森川、中郷川があります。また、県道84号線は多くの場所で久々利川と平行に走り、久々利1号橋、久々利2号橋などが架かっています。さらに、姫橋、大森大橋、二野橋（岐阜県道381号）なども重要な役割を果たしています。

水源汚染問題

2003年4月、久々利川の水源近くにある新滝ヶ洞溜池で、魚釣り大会のために放流された魚が大量に死ぬという出来事が起こりました。調査の結果、上流に位置する東海環状自動車道のトンネル掘削の残土処分場において、土中に潜んでいた黄鉄鉱が雨水と反応し、硫酸を生成することで水質汚染の原因が明らかとなりました。この汚染により、残土からカドミウムや亜鉛などの重金属が流れ出ました。

国土交通省はこの問題対策として処理プラントの設置や覆土工事を行いましたが、住民側はその対策が不十分とされ、全面的な撤去を求める公害調停が行われました。しかしながら、岐阜県公害調停委員会は調停が成立する見込みがないとして、2006年に調停を打ち切りました。今でも残土処分場からは重金属を含む酸性の水が流出しており、処理プラントで中和後に久々利川に排水されています。処分場の正式な名称は「可児市公共残土ストックヤード」とされていますが、その実態は埋立地とされることが明らかになっています。

このように久々利川は自然環境だけでなく、歴史や人々の生活にも深く影響を与える存在であり、その環境保全は地域の重要な課題となっています。

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