久保千代志

久保千代志：競輪界のレジェンド

久保千代志（くぼ ちよし）は、1952年7月27日生まれの元競輪選手であり、現在は競輪評論家として知られています。北海道出身の彼は、その卓越した才能と情熱で競輪界に大きな足跡を残しました。

若き日の挑戦

高校を中退後、久保は集団就職で愛知県へ。トヨタ自動車工業で働きながら、スケート競技に打ち込んでいました。しかし、同僚からの紹介で競輪の世界に魅了され、トヨタを退社。

「黒須道場」として知られる黒須修典に師事し、1971年に競輪学校へ入学。同期には阿部良二、加藤善行、天野康博らがおり、彼らは『花の29期生』と呼ばれました。翌1972年、名古屋競輪場でのデビュー戦で1着という華々しいスタートを切りました。

中野浩一との絆

全盛期には、久保は中野浩一と深い親交を結びました。自ら「中野浩一の教育係」と称し、高橋健二と共に中野の相談役を務めることもありました。また、レースでは中野と連携し、数々の勝利を共に掴みました。中野が新人時代に孤立していた際には、久保が参謀役として陰ながら支え、後に藤巻昇を味方に引き入れ、「中野シンパライン」を結成する立役者となりました。

高松宮杯優勝と世界選手権メダル

1981年の高松宮杯決勝では、菅田順和の逃げに乗り、直線で一気に抜き去り優勝。この勝利は、世界選手権での繋がりがあった菅田との連携によるもので、久保にとって唯一のGIタイトルとなりました。

同年、チェコスロバキアのブルノで開催された世界自転車選手権プロ・ケイリンでは3位入賞を果たし、日本人選手として同種目初のメダルを獲得しました。

現役引退と解説者としての活動

その後、久保は藤巻昇を慕って北海道へ拠点を移し、長らく第一線で活躍を続けました。現役末期には再び愛知に戻り、1997年に引退。引退後は、競輪中継の専門解説者として活躍しています。その的確な解説と親しみやすい語り口で、多くの競輪ファンに支持されています。

主な獲得タイトル

1981年 - 高松宮杯競輪（大津びわこ競輪場）

エピソード

現役時代の久保は、その端正な顔立ちから「競輪界の草刈正雄」とも呼ばれていました。そのルックスに魅せられた芸能プロダクションからスカウトされたこともあったそうです。現在もその風貌は健在で、解説者として出演する競輪番組で、往年のエピソードを語ることもあります。

また、久保自身の談によると、競輪選手が競輪学校で合宿練習を行うようになったのは、彼と中野が最初だったとのことです。

関連人物

黒須修典（師匠）
中野浩一（盟友）
高橋健二（同門）
藤巻昇（尊敬する先輩）
菅田順和（ライバルであり盟友）
* 渡邉大吾 (弟子)

久保千代志は、競輪選手としてだけでなく、解説者としても競輪界に多大な貢献をしているレジェンドと言えるでしょう。

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